涅槃寂静―安穏に眠る

死して後、誰と、どこで、どんなカタチで眠るのか―。命の営みの最終章 にふさわしい舞台を追い求める時、一つの選択肢が浮上する。木々や花々 のぬくもりに包まれて眠る「樹木葬」である。都営大江戸線・牛込柳町駅西口を出て、すぐ左手に広がる樹木葬墓地「瑞光寺 牛込庭苑」を紹介しよう。

Photo TONY TANIUCHI Text Junko Chiba

死して後、誰と、どこで、どんなカタチで眠るのか―。命の営みの最終章 にふさわしい舞台を追い求める時、一つの選択肢が浮上する。木々や花々 のぬくもりに包まれて眠る「樹木葬」である。都営大江戸線・牛込柳町駅西口を出て、すぐ左手に広がる樹木葬墓地「瑞光寺 牛込庭苑」を紹介しよう。

牛込庭苑
都会の喧騒を感じさせない好立地に静かにたたずむ牛込庭苑。四季折々の美しい花々や植物に囲まれた安らぎの空間が広がる。

地上に出て10歩と歩かないうちに、瑞光寺入口の門に行き当たる。樹齢420年の松の木が「ようこそ」とばかりに迎えてくれる。悠久の時を生きるこの巨木が象徴するように、瑞光寺は安土桃山時代の終わり、1595年に上聖院日亮上人により創建された古刹(こさつ)である。

ここ牛込地域は、大名や旗本が暮らした山の手の住宅地。江戸時代までは「恵光寺」と称し、紀州新宮藩・水野家ゆかりの「武家の寺」として、篤(あつ)い信仰を集めてきたという。

今なお創建以来の寺領2千坪を有する境内には、本堂をはじめ客殿、書院、斎場などのお堂が立つ。

奥に進むと、そこは約950基のお墓が並ぶ空間。一般墓地の瑞光寺墓地、宗旨・宗派不問の霊園「恵光メモリアル」に加えて、永代供養塔などが開設されている。

その一角・3カ所を彩るのが牛込庭苑だ。2017年にオープンし、翌18年に第2期、そしてガーデニングのプロ、リンドウが設計・運営する第3期が20年10月に開苑した。〝新参者〟ながら、長い歴史の息づく墓所の雰囲気に見事に溶け込んでいる。

随所に配された多彩な木々や、色とりどりの花弁を広げる花々など、まさに四季折々の自然をうつす日本庭苑と称するにふさわしい。

起伏に富んだ地形に沿って一般墓所から庭苑へと迷路のように続く小径(こみち)がまた楽しい。石を乱張りに敷き詰めた通路、木の格子様にデザインされたフェンス、自然石を野面積みにしたエリアなどが、相互に控えめに主張しつつ一体となって美しさを紡ぐよう。心も晴れやかに散歩感覚で墓参を楽しむことができそうだ。

この庭苑にはもう一つ、大きな魅力がある。それは、植栽をベッドに横たわるプレート状のカラフルな墓石に、自由に彫刻をデザインできることだ。

名前と生没年だけを刻印したシンプルなものから、幼少期に描いた家族の絵や、自らの筆に成る町の風景画、似顔絵・ペット・趣味のピアノ・好きなお酒などのイラストを配した凝りに凝ったものまでさまざま。ここに眠る人たちが生きたすばらしい人生を彷彿(ほうふつ)とさせる、そんな墓石たちである。ちなみに石はすべて仏教の故郷、インド産だそうだ。

もちろんお墓としての機能は、十全だ。たとえば種類は、1人用の個人タイプから4人用のファミリータイプまで3種類。現代の核家族化に対応するスタイルだ。

うれしいのは、多くの家庭で「家族の一員」として愛されるペットたちと、一緒に眠るのが可能なこと。最後の一人となった方の13回忌をもって、人とペットがそれぞれの永代供養塔に埋葬され土に還(かえ)る、そこまで手厚く供養してもらえる。

このほか、他の墓地からお骨を改葬できる、継承者がいなくても申し込み可、要望に応じて年忌法要を行うなど、今時のお墓事情に配慮した対応が行き届いている。

牛込庭苑が提唱するこの樹木葬という新しい「眠りのカタチ」から、死後に憂いを残さず、今を輝いて生きるための道筋が見えてくるのではないだろうか。

●瑞光寺 牛込庭苑 TEL0120-06-1194

※『Nile’s NILE』2021年3月号に掲載した記事をWEB用に編集し掲載しています

真のラグジュアリーとは何か

真のラグジュアリーとは何か

ラグジュアリーの定義が、音を立てて変わりゆく時代にあっても、最高峰のプロダクトを手にし、その圧倒的な美しさに触れる高揚感が、人生を鮮やかに彩る原動力であることを、私たちは知っています。
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その「知的冒険」こそが、グローバリズム崩壊後の世界に残された、最後のラグジュアリーではないかと考えます。
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