東京ジャズ喫茶 60-70年代のリズム

1960年代から70年代にかけて隆盛を誇ったジャズ喫茶。時代の流れとともに衰退したかに見えたこの業態に、今、新たな風が吹いている。従来とは異なる若い層、女性層、テレワーク需要や海外からのインバウンドも増加。そこに何が起こっているのか?ジャズ喫茶の新時代を追って。

Photo   Text Yasushi Matsuami

1960年代から70年代にかけて隆盛を誇ったジャズ喫茶。時代の流れとともに衰退したかに見えたこの業態に、今、新たな風が吹いている。従来とは異なる若い層、女性層、テレワーク需要や海外からのインバウンドも増加。そこに何が起こっているのか?ジャズ喫茶の新時代を追って。

東京ジャズ喫茶、60-70年代のリズム
写真/「DIG」(1980年)『新宿DIG DUG物語 中平穂積読本』高平哲郎編(東京キララ社)

一杯のコーヒーを前に、思いつめたような表情の若者たちが、同じ方向を向いて座っている。前方に鎮座するのは大型のスピーカー。高品質なオーディオから流れるのはモダンジャズ。ある者は文学や形而上学に対峙するように沈思黙考し、ある者はハイミナールなどの薬物による陶酔感と共にその中に溺れた。そんな風景が1960~70年代のジャズ喫茶にあった。

61(昭和36)年のアート・ブレイキーとジャズメッセンジャーズの初来日公演を機にモダンジャズブームが到来、ジャズ喫茶が続々と出来始める。当時LPレコードは高価で、オーディオも一般家庭には普及しておらず、それゆえジャズ喫茶を訪れる人々は神妙な面持ちでその音に耳を傾けた。

ジャズ喫茶という業態は、日本独自のものだ。アメリカではジャズを聴くならライブ演奏が行われるジャズクラブなどがメイン。店でレコードを聴く文化はなかった。

時の流れと共に音楽を取り巻く環境も変化し、80年代以降ジャズ喫茶は徐々に衰退に向かう。しかし最近、ジャズ喫茶に新たなブームが訪れている。コロナ禍以降、女性客やテレワーク需要が増加。若者のアナログやレコードへの関心の高まりに加え、ジャズを題材とする漫画『BLUE GIANT』のヒットや映画化も、ジャズ喫茶の復権を後押しした。

またジャズ喫茶文化の海外伝播も進んでいる。レコードを高品質な音響システム聴かせるリスニングバーが各国に広がり、その影響でインバウンド需要も急増中だ。そんなジャズ喫茶新時代を“老舗”3軒に取材した。こうした動きに、かつて雑誌編集者だった楠瀬克昌氏が2016年から運営するウェブサイト「ジャズ喫茶案内」が大きな役割を果たしたという声もある。

都内で長く営業を続ける“老舗”3軒や、楠瀬氏にも取材しながら、そんなジャズ喫茶新時代を追う。

※『Nile’s NILE』2024年2月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています

東京ジャズ喫茶 目次

東京ジャズ喫茶、60-70年代のリズム、DUG、いーぐる

・Jazz cafe & Bar DUG
・ジャズと聴き手をつなぐプロの気概

東京ジャズ喫茶、60-70年代のリズム、映画館、楠瀬克昌

・レコードを回し続ける
・「ジャズ喫茶への誤解を修正」が呼んだ海外からの意外な反応

真のラグジュアリーとは何か

真のラグジュアリーとは何か

ラグジュアリーの定義が、音を立てて変わりゆく時代にあっても、最高峰のプロダクトを手にし、その圧倒的な美しさに触れる高揚感が、人生を鮮やかに彩る原動力であることを、私たちは知っています。
物質的な豊かさが、依然として私たちの精神を支える強靭な基盤であることに、言を俟ちません。
真の贅沢はそこから始まります。
アルゴリズムが弾き出す「正解」を疑い、自らの審美眼と直感で未踏の価値を切り拓く。
その「知的冒険」こそが、グローバリズム崩壊後の世界に残された、最後のラグジュアリーではないかと考えます。
Nile's NILE Digitalは、物質と精神、伝統と革新、都市の快楽と野生の回復――この相反する要素を「アンビバレンス」として愉しむ、選ばれた冒険者たちのためのプラットフォーム。
混沌を優雅にサバイブするための視座と、本物の体験へのアクセス権。
ここはまさにDesigning for the Exceptionalsの砦。
知的冒険者たちが集い、次なる航路を描くための、現代の港となります。

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