多様性が拓く未来の可能性

時計業界での長いキャリアに加え、該博な知識と穏やかな人柄でリスペクトされてきた飛田直哉さんが、自身の時計ブランドを立ち上げたのは2018年のこと。時計の歴史に向き合う一方、現在の時計業界の動向やトレンドにも広く目を向け、自身のウォッチメイキングに反映させている。ジュネーブ・ウォッチ・グランプリ(GPHG)2023の審査員も務めた飛田さんに、腕時計の可能性を聞く。

Photo Photo Masahiro Goda  Text Yasushi Matsuami

時計業界での長いキャリアに加え、該博な知識と穏やかな人柄でリスペクトされてきた飛田直哉さんが、自身の時計ブランドを立ち上げたのは2018年のこと。時計の歴史に向き合う一方、現在の時計業界の動向やトレンドにも広く目を向け、自身のウォッチメイキングに反映させている。ジュネーブ・ウォッチ・グランプリ(GPHG)2023の審査員も務めた飛田さんに、腕時計の可能性を聞く。

多様性が拓く未来の可能性

NH WATCH代表、飛田直哉
NAOYA HIDA & Co. NH WATCH代表 飛田直哉(ひだ・なおや)
1963年、京都府生まれ。日本デスコ、日本シイベルヘグナー(現DKSHジャパン)で高級時計のセールスやマーケティングを担当した後、F.P.ジュルヌ、ラルフ ローレン ウォッチの日本法人代表を歴任。2018年に独立し、自身が理想とする腕時計製作を具現化するべくNHWATCHを設立。GPHG 2023では最終選考の審査員を務めた。

「もちろん誰にもわかりませんよね」
腕時計の未来はどうなるのか?
という大上段に構えた質問に、飛田直哉さんは、そう言って笑った。はぐらかしたのではない。実直な人柄が、偽らざる思いを口にさせたのだ。

高級時計の世界で30年近くキャリアを積み、2018年、自身の理想とする「熟練職人による手作業と最新の工作機械による加工を組み合わせた現代のビンテージウォッチ」の具現化に動き出す。そのモデルは日本以上に海外の時計愛好家の注目を集めている。

かねてより腕時計に対する該博な知識で一目置かれる存在だった飛田さんだが、その評判はスイスにまで届いたようで、先日開催されたGPHG 2023の最終選考の審査員に抜擢された。「今年は若い時計師の受賞も目立ちましたし、アジアを始めスイス以外のエリアでもウォッチメイキングが進んでいる印象を強くしました。腕時計は今、全部の方向に広がっている気がします。近未来的なデザインにも、ビンテージテーストにも」

ジュネーブから帰国したばかりの飛田さんは、そう語ってくれた。「個人的には、まだまだ技術革新は止まらないと思います。素材、表面加工、構造、外見の審美性、全ての分野で進化の余地はある。先日、グルーベル・フォルセイが新しい構造のトゥールビヨンを発表したし、リシャール・ミルの新素材のダイヤルもすごいと思う。マレーシアを拠点とする新興ブランド、MING(ミン)からも超軽量の新素材モデルが発表されました。MINGは、写真家兼デザイナーで、ビジネス戦略家でもあるミン・ティンさんを中心に設立され、製造はスイスのシュワルツ・エティエンヌという会社が請け負っています。GPHGも何度か受賞している。数カ月に一度新作をウェブ上で発表して受注すると、もう数秒で完売。今、大ブームです。高級時計も実機を見ないで、オンラインで買うことが普通になってきましたね」

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真のラグジュアリーとは何か

真のラグジュアリーとは何か

ラグジュアリーの定義が、音を立てて変わりゆく時代にあっても、最高峰のプロダクトを手にし、その圧倒的な美しさに触れる高揚感が、人生を鮮やかに彩る原動力であることを、私たちは知っています。
物質的な豊かさが、依然として私たちの精神を支える強靭な基盤であることに、言を俟ちません。
真の贅沢はそこから始まります。
アルゴリズムが弾き出す「正解」を疑い、自らの審美眼と直感で未踏の価値を切り拓く。
その「知的冒険」こそが、グローバリズム崩壊後の世界に残された、最後のラグジュアリーではないかと考えます。
Nile's NILE Digitalは、物質と精神、伝統と革新、都市の快楽と野生の回復――この相反する要素を「アンビバレンス」として愉しむ、選ばれた冒険者たちのためのプラットフォーム。
混沌を優雅にサバイブするための視座と、本物の体験へのアクセス権。
ここはまさにDesigning for the Exceptionalsの砦。
知的冒険者たちが集い、次なる航路を描くための、現代の港となります。

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