名残の夏 落ち鮎・落ち鱧

季節の喜びを表現することに力を入れている「茶禅華」の川田智也さん。「落ち鮎」と「落ち鱧」。どんな料理を披露してくれるのだろう。

Photo Masahiro Goda  Text Hiroko Komatsu

季節の喜びを表現することに力を入れている「茶禅華」の川田智也さん。「落ち鮎」と「落ち鱧」。どんな料理を披露してくれるのだろう。

「鮎のおこげ揚げ」という茶禅華の定番料理もある。こちらは、鮎を中国白酒の仲間であるウーリャンイエに漬け込み、衣としておこげをまぶして揚げたもの。頭から骨まで食べられるように調理され、鮎の香ばしさとウーリャンイエの清涼感が絶妙にマッチする。鮎は塩焼きが最高という思い込みを覆される。

見た目にもこだわり、川底の石を模した器に盛り付けることで、鮎の生態を表現している。

一方、鱧の落とし(さっと湯引きをして火を通す日本料理の技法)は鱧を湯引きにし、ひゆ菜を使った深紅のソースを添えた目にもあでやかな一品である。ひゆ菜は東南アジア原産の葉野菜で、ほろ苦さととろみが特徴。「梅干しと合わせる伝統的な鱧料理から着想を得たこのソースは、鉄分豊富で精のつく鱧との取り合わせで、夏の疲れを癒やす料理としてもぴったりの一品だと考えたわけです」と川田さん。

さらに、鱧料理にはマカのすりおろしも添えられており、途中で味の変化を楽しめる。マカは南米原産の植物で、その清々しい辛みが特徴だ。「日本料理における、魚の最高のパートナーであるわさびの存在が中国料理においてなかったことが、ずっと残念だと思っていたのですが、マカの辛みには、その代用ができる薬味として使える可能性があると、期待しています」と川田さん。

淡味の象徴とも言える鱧を晩夏から秋への茶禅華を象徴する料理と言えるところまで高めた一品。今年の新作として、大好評を博している。ぜひ味わってみてほしい。

●茶禅華
東京都港区南麻布4-7-5
TEL 050-3188-8819(予約専用番号)
sazenka.com

※『Nile’s NILE』2024年9月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています

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真のラグジュアリーとは何か

真のラグジュアリーとは何か

ラグジュアリーの定義が、音を立てて変わりゆく時代にあっても、最高峰のプロダクトを手にし、その圧倒的な美しさに触れる高揚感が、人生を鮮やかに彩る原動力であることを、私たちは知っています。
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その「知的冒険」こそが、グローバリズム崩壊後の世界に残された、最後のラグジュアリーではないかと考えます。
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