雄大、繊細、革新の調和

南青山の一角に2019年の12月にオープンした「慈華」。悠久の歴史の中で磨かれ、伝承されてきた中国の料理文化。それと、日本の風土や日本人の感性の融合をテーマとする。10年にわたり自店を営んできた田村氏が、場所と店名を変えて新ステージで活躍。充実の時間を提供する。

Photo Masahiro Goda  Text Izumi Shibata

南青山の一角に2019年の12月にオープンした「慈華」。悠久の歴史の中で磨かれ、伝承されてきた中国の料理文化。それと、日本の風土や日本人の感性の融合をテーマとする。10年にわたり自店を営んできた田村氏が、場所と店名を変えて新ステージで活躍。充実の時間を提供する。

運気の上がる前菜盛り合わせ

慈華、運気の上がる前菜盛り合わせ
「運気の上がる前菜盛り合わせ」と名付けられた、オリジナルの皿に盛り込む一品。昇り龍に見立て、縁起のよい尾頭付きの素材を盛り入れる。よだれ鶏、フォワグラとナツメのテリーヌなどは定番。一方、豆腐干やクラゲを季節の素材であえる。

一方、シグニチャーメニューの「運気の上がる前菜盛り合わせ」は、食事の冒頭でお客をワクワクさせる一品だ。「中国料理は縁起ものが大好き。この前菜では昇り龍をイメージして盛りつけています」といい、おめでたい尾頭付きの魚介類を皿の中心に、龍が昇るように上向きに配すのが定番だという。今回用いた「尾頭付き」はエビ。季節によってはキビナゴや稚アユとなることもある。

さらなる進化

  • 慈華、堀口切子の江戸切子
    目利きの間でも高く評価される堀口切子の江戸切子。その猪口を「日本を象徴するアイテム」として、紹興酒用の器とする。「中国のお酒と日本の器の融合、というコンセプト」。
  • 慈華、自家製のカラスミ
    日本料理店でポピュラーなカラスミの自家製に、「慈華」も取り組む。兵庫、大阪、高知、五島などからボラを仕入れ、卵をとり、塩漬けののちに干す。写真は干しはじめから約1週間。
  • 「慈華」の名には、「素材を慈しみ、人を慈しみ、料理を慈しむ」という思いが込められている
    「慈華」の名には、「素材を慈しみ、人を慈しみ、料理を慈しむ」という思いが込められている。食、素材、文化、風土など、料理を取り巻くあらゆる事柄への情熱を象徴する言葉。
  • 慈華の店内
    「中国と日本の融合」というテーマを店づくりにも投影。日本をイメージした木目調と、中国の伝統的住居「胡同」を思わせる石の床を組み合わせた。個室1室と、テーブル席からなる。

なお田村氏のベースを形作っている盤石な四川料理の知識と技術は、22歳の時から修業した「麻布長江」のオーナーシェフ、長坂松夫氏から学んだものだ。その後、32歳の時に長坂氏から店を買い取り、10年間「麻布長江 香福筵(こうふくえん)」を営む。「『これは自分の料理』と言えるようになったのは後半の5年間くらいでしょうかね」という。

そんな時期を経て、2019年12月に満を持してオープンしたのが「慈華」だ。今までも10年間自店を営んできた田村氏だが、「慈華」では育んできたコンセプトをより明確に打ち出し、理想に邁進(まいしん)する。

新しい一幕を迎え、表現はより充実。厚みのある経験を経たうえで見せるさらなる進化に、注目が集まる。

慈華 田村亮介氏

田村亮介 たむら・りょうすけ
1977年東京都生まれ。実家は祖父が創業した中国料理店。調理師学校卒業後、数店での修業を経て2000年に「麻布長江」に入る。06年に料理長に。09年同店を買い取り「麻布長江 香福筵」オーナーシェフに。19年4月、建物の老朽化に伴い店を閉め、同年12月に「慈華」を開業。

●慈華
東京都港区南青山2-14-15 2F
TEL 03-3796-7835
www.itsuka8.com

※『Nile’s NILE』2021年1月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています

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真のラグジュアリーとは何か

真のラグジュアリーとは何か

ラグジュアリーの定義が、音を立てて変わりゆく時代にあっても、最高峰のプロダクトを手にし、その圧倒的な美しさに触れる高揚感が、人生を鮮やかに彩る原動力であることを、私たちは知っています。
物質的な豊かさが、依然として私たちの精神を支える強靭な基盤であることに、言を俟ちません。
真の贅沢はそこから始まります。
アルゴリズムが弾き出す「正解」を疑い、自らの審美眼と直感で未踏の価値を切り拓く。
その「知的冒険」こそが、グローバリズム崩壊後の世界に残された、最後のラグジュアリーではないかと考えます。
Nile's NILE Digitalは、物質と精神、伝統と革新、都市の快楽と野生の回復――この相反する要素を「アンビバレンス」として愉しむ、選ばれた冒険者たちのためのプラットフォーム。
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