ディープな味を肩ひじ張らずに

近年、ひときわの充実を見せる東京の中国料理。「膳楽房」も、そうした中で存在感を見せる存在。気軽なたたずまいでありながら、素材や調味料使いは本格的でディープ。オーナーシェフの榛澤知弥氏が作り出す、ややマニアック、それでいて生き生きとした風味で食べやすい料理が人気を呼んでいる。

Photo Haruko Amagata  Text Izumi Shibata

近年、ひときわの充実を見せる東京の中国料理。「膳楽房」も、そうした中で存在感を見せる存在。気軽なたたずまいでありながら、素材や調味料使いは本格的でディープ。オーナーシェフの榛澤知弥氏が作り出す、ややマニアック、それでいて生き生きとした風味で食べやすい料理が人気を呼んでいる。

中華菜 膳楽房千葉県産の菜の花を、自家製のベーコンとともに炒めた
千葉県産の菜の花を、自家製のベーコンとともに炒めた。野菜料理は、膳楽房で力を入れている料理の一つ。自家製の加工肉やインパクトある調味料を用いながら、シンプルに仕立てる。

こうして身につけたベースに、自分なりのエッセンスを加えたのが、現在の膳楽房の料理だ。
「日本で出版された、中国料理の古い本を見るのが好きです。陳建民さんをはじめとする中国人料理人たちが主導して、戦後の日本で花開いた中国料理に惹かれるのです。この時期の料理が、今の日本における中国料理の礎になっているのですから、もっと深く知りたい」と、榛澤氏。

また、オープン間もないころに合流したかつての同僚で、台湾人料理人の張振隆(チョウツェンロン)氏の影響も大きい。彼経由で知った台湾独自のハーブやスパイス、家庭料理の要素も、柔軟に取り入れられている。

「『膳』は、食事という意味。その『楽房』つまり『ラボ』でありたい、という思いも店名に込めています」

大学時代は理系で、応用化学を専攻していた氏は、「研究は嫌いじゃないんです」と笑う。あくまでもシンプルな料理を旨としながら、そのおいしさの裏付けを常に追求している榛澤氏。一見素朴に思える料理にも理論や哲学が貫かれている、その深さが個性となり、多くのお客を惹きつけている。

中華菜 膳楽房 榛澤知弥氏

榛澤知弥
1976年、東京都生まれ。大学卒業後、アルバイトをしていた阿佐ヶ谷の老舗居酒屋に就職。その後「龍口酒家 チャイナハウス」に入り、10年間働く。2013年に独立し、「膳楽房」をオープン。

●中華菜 膳楽房
東京都新宿区神楽坂1-11-8
TEL 03-3235-1260

※『Nile’s NILE』2019年3月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています

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真のラグジュアリーとは何か

真のラグジュアリーとは何か

ラグジュアリーの定義が、音を立てて変わりゆく時代にあっても、最高峰のプロダクトを手にし、その圧倒的な美しさに触れる高揚感が、人生を鮮やかに彩る原動力であることを、私たちは知っています。
物質的な豊かさが、依然として私たちの精神を支える強靭な基盤であることに、言を俟ちません。
真の贅沢はそこから始まります。
アルゴリズムが弾き出す「正解」を疑い、自らの審美眼と直感で未踏の価値を切り拓く。
その「知的冒険」こそが、グローバリズム崩壊後の世界に残された、最後のラグジュアリーではないかと考えます。
Nile's NILE Digitalは、物質と精神、伝統と革新、都市の快楽と野生の回復――この相反する要素を「アンビバレンス」として愉しむ、選ばれた冒険者たちのためのプラットフォーム。
混沌を優雅にサバイブするための視座と、本物の体験へのアクセス権。
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