運命に愛される男

世界で最も予約の取れないレストランといわれたスペインの「エル・ブリ」で研鑽を積み、茶懐石を取り入れた独自の創作料理で国内外の人々を魅了する山田チカラ氏。「エル・ブリ」のフェラン・アドリア氏を始め、運命と数々の出会いを味方につけ、枠にとらわれない快進撃を続ける山田氏の活躍から目が離せない。

Photo Masahiro Goda  Text Rie Nakajima

世界で最も予約の取れないレストランといわれたスペインの「エル・ブリ」で研鑽を積み、茶懐石を取り入れた独自の創作料理で国内外の人々を魅了する山田チカラ氏。「エル・ブリ」のフェラン・アドリア氏を始め、運命と数々の出会いを味方につけ、枠にとらわれない快進撃を続ける山田氏の活躍から目が離せない。

山田チカラ「スパニッシュオムレツ」
グラスの中に、底から炒めた玉ねぎ、卵黄のエムルシオン、じゃがいものエスプーマ、トリュフを層にしたシグネチャーメニュー「スパニッシュオムレツ」。フワフワとした卵の食感にトリュフが香る。エスプーマとは食材に亜酸化窒素を加えて泡状にする料理。山田チカラ氏は日本でさまざまなエスプーマを考案し、第一人者として注目を浴びた。

「ジャンルにとらわれない料理は斉藤さんの影響。山田なんて知らないと言いそうな方ですが、恩師ですね」

チャンスが訪れる。来日したアドリア氏のエスコート役を担い、「あなたの元で働きたい」と直談判すると了承され、再びスペインへ。1年半、アドリア氏の元で研鑽を積んだ。「大勢の料理人にいろんなものを実験的に作らせて、洗練させていく。天才的な人です」と振り返る。

「フェランからは、すべてに疑問を持てと言われました。なぜ日本では、昆布と鰹で出汁をとるのか。すべてを理解してからやれ、と」

帰国して旬香亭に戻ると、斉藤氏に「エル・ブリの通りにやれ。最初は理解されなくても、やり続けろ」と言われた。結果、山田氏は亜酸化窒素を使ったエスプーマの第一人者として名を博すこととなる。料理の信条を問うと、シンプルな答えが返ってきた。

「何を食べさせたいかより、お客様が望んでいるものを察すること。今でも日々勉強です」

山田チカラ 山田チカラ氏

山田チカラ
1971年静岡県生まれ。熱海のホテルのフランス料理店などで修業後、スペイン「エル・ブリ」のフェラン・アドリア氏に師事。2007年東京・南麻布に「山田チカラ」を開業。2018年に「山田チカラ ホノルル」と「山田チカラ ニューヨーク」をオープンした。今年4月にはバルセロナにも出店。

●山田チカラ
東京都港区南麻布1-15-2 1F
TEL 03-5942-5817
www.yamadachikara.com

※『Nile’s NILE』2019年3月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています

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真のラグジュアリーとは何か

真のラグジュアリーとは何か

ラグジュアリーの定義が、音を立てて変わりゆく時代にあっても、最高峰のプロダクトを手にし、その圧倒的な美しさに触れる高揚感が、人生を鮮やかに彩る原動力であることを、私たちは知っています。
物質的な豊かさが、依然として私たちの精神を支える強靭な基盤であることに、言を俟ちません。
真の贅沢はそこから始まります。
アルゴリズムが弾き出す「正解」を疑い、自らの審美眼と直感で未踏の価値を切り拓く。
その「知的冒険」こそが、グローバリズム崩壊後の世界に残された、最後のラグジュアリーではないかと考えます。
Nile's NILE Digitalは、物質と精神、伝統と革新、都市の快楽と野生の回復――この相反する要素を「アンビバレンス」として愉しむ、選ばれた冒険者たちのためのプラットフォーム。
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