フランス一筋

2000年の開業以来、変わらぬ人気を集め続けている「ル・ブルギニオン」。オーナーシェフの菊地美升氏が作るのは、骨太さと温かさを兼ね備えたフランス料理。フランスへの愛情があふれる料理、ワイン、店の空気が、多くのお客を魅了してやまない。

Photo Masahiro Goda  Text Izumi Shibata

2000年の開業以来、変わらぬ人気を集め続けている「ル・ブルギニオン」。オーナーシェフの菊地美升氏が作るのは、骨太さと温かさを兼ね備えたフランス料理。フランスへの愛情があふれる料理、ワイン、店の空気が、多くのお客を魅了してやまない。

好きなのは、王道現代フレンチ

クラシックな中に、モダンな要素も織り込んだフランス料理。ソースにもメインにも存在感がありながら、アクセント的に現代的な洗練もある。それが、僕が好きな料理です。

この軸を保ちながら、自分の中では、冷たい料理と温かい料理とで料理の表現を変えています。
冷たい品ではモダンさ、盛り付けや器の美しさを意識。温かい品は食材をグッと前に出し、しっかりとしたソースを合わせるのが好きです。

今回紹介した2品(次ページ)にもそれが当てはまります。
カニの前菜は、根セロリのサラダの上に、ほぐしたタラバガニを野菜のせん切りとあえて盛り、蕪(かぶ)のエスプーマ、ビーツやラディッシュとともに仕立てた一品。いずれも冬に味に旨みを増す、根菜とカニのマリアージュを楽しんでいただきます。

一方の「エスカルゴと骨髄、牛胃のロースト、赤ワインのピュレソース」は、20年来のスペシャリテ。骨髄の中にこんがりと焼いたトリッパとエスカルゴを詰め、酸味をきかせた赤ワインソースを流し、骨髄をのせます。ブルゴーニュでの修業先「エキュソン」の料理をベースに、自分が大好きな食材、トリッパを加えて仕立てました。フランスから帰る機内で考えた、思い出深い料理です。

函館愛と、母が作る鮭の飯寿司

故郷は函館です。地元への愛情は人一倍強いですよ。年に2、3回は帰って親の顔を見て、あと、地元の友達と飲んだり食べたり。
過ごしたのは18歳までですが、函館は本当に大好きです。

実家は「菊地商店」という、食品からお総菜、お酒、雑貨まで幅広く扱う店を営んでいます。子どもの頃、両親は朝から夜まで忙しくしていて、店は日曜も営業。休日は元日のみ。

そんな中でも母は料理が大好きで、手を抜かずおいしいものを作ってくれました。そして、僕はそれを食べるのが大好き。男三兄弟なので、餃子なんて200個も作るんです。それを長男の僕が100個食べるという(笑)。

あと、土曜は学校から帰ってきたら、店からウィンナーなど好きなものをとってきて自分で炒めて昼ごはんを作ったりも。高校生の時は、自分と弟の弁当は僕が作っていましたね。そんな感じで、自然と食に親しむ環境にありました。

母の料理は昔から好きですが、今も食べるたびにしみじみ感動するのが、冬に作る鮭の飯寿司(いずし)やニシン漬けです。
北海道の郷土の味ですが、母が作るものは本当においしく、僕が通信販売を手がけたいくらい。菊地商店で売っているので、地元の知人や冬に函館に行く人には本気で勧めています。

気分転換は本。小説でもエッセイでも

気分転換に、よく本を読みます。例えばディナーの営業で料理を作り終わって一段落したら、ワインセラーにこもって読みかけの小説に手を伸ばしたり。お客様のお見送りまでの、ちょっと空いた時間に読むんです。忙しい時は無理ですが、通常の時、本はとても身近な存在です。

ル・ブルギニオン。好きな本

読むのは小説やエッセイが多く、ジャンルは問いません。『下町ロケット』、『ハゲタカ』のような現代物、『項羽と劉邦』などの歴史物、『ハリー・ポッター』シリーズなど海外物、村上春樹、吉田修一などのベストセラー作家、などなど。たまにテーマを決めて集中的に読むことも。
去年は「近代を読もう!」と思い立ち、『金閣寺』『伊豆の踊子』『羅生門』を続けて読んだのですが、ちょっと進みが遅かった(笑)。

読んだ本は、手帳に題名をメモしておきます。書いておかないと、意外と忘れてしまうでしょう? 去年読んだ本、一昨年読んだ本の一覧を見直すのもまた、楽しいものです。

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真のラグジュアリーとは何か

真のラグジュアリーとは何か

ラグジュアリーの定義が、音を立てて変わりゆく時代にあっても、最高峰のプロダクトを手にし、その圧倒的な美しさに触れる高揚感が、人生を鮮やかに彩る原動力であることを、私たちは知っています。
物質的な豊かさが、依然として私たちの精神を支える強靭な基盤であることに、言を俟ちません。
真の贅沢はそこから始まります。
アルゴリズムが弾き出す「正解」を疑い、自らの審美眼と直感で未踏の価値を切り拓く。
その「知的冒険」こそが、グローバリズム崩壊後の世界に残された、最後のラグジュアリーではないかと考えます。
Nile's NILE Digitalは、物質と精神、伝統と革新、都市の快楽と野生の回復――この相反する要素を「アンビバレンス」として愉しむ、選ばれた冒険者たちのためのプラットフォーム。
混沌を優雅にサバイブするための視座と、本物の体験へのアクセス権。
ここはまさにDesigning for the Exceptionalsの砦。
知的冒険者たちが集い、次なる航路を描くための、現代の港となります。

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