簡素さを追求する

石川秀樹氏の神楽坂「石かわ」の姉妹店としてオープンした「蓮」は、2018年6月に神楽坂から銀座に移転。料理長の三科惇氏は、料理人が憧れるこの土地でも今までと変わらず、徹底した集中力で料理を追求。ぬくもりのあるカウンター対応もそのまま。シンプルで凛(りん)とした料理が、多くのお客を喜ばせている。

Photo Masahiro Goda  Text Izumi Shibata

石川秀樹氏の神楽坂「石かわ」の姉妹店としてオープンした「蓮」は、2018年6月に神楽坂から銀座に移転。料理長の三科惇氏は、料理人が憧れるこの土地でも今までと変わらず、徹底した集中力で料理を追求。ぬくもりのあるカウンター対応もそのまま。シンプルで凛(りん)とした料理が、多くのお客を喜ばせている。

蓮。旬の松葉がにを、カウンターに七輪を置いて炭火で焼く
旬の松葉がにを、カウンターに七輪を置いて炭火で焼く。立ち上る香ばしい香りも冬のごちそう。焼きあがった姿からは、殻に詰まるふっくらとした身が見えるよう。食べやすいように身をほぐして、すだちを添えて提供する。

美意識の宿る店を継承

神楽坂「石かわ」の石川秀樹氏は、「虎白」「蓮」も含めた合計3店舗の日本料理店を経営し、それぞれに自分の愛弟子を料理長に据えている。
虎白の料理長は小泉瑚佑慈氏、蓮は三科惇氏。石川氏は「自由にやりなさい」という方針で、献立も味作りもそれぞれの料理長に任せている。

三科氏は2008年にオープンした虎白、その翌年にオープンした蓮で、7年間煮方を務めてから30歳で蓮の料理長に就いた。5年前のことだ。料理長の話が決まってから、三科氏は石川氏や小泉氏の生活を徹底的になぞることで自分を鍛えた。

「お二人とも、四六時中献立のことを考えているんです。お店の最後まで残って考え、試して。休みの日も考え……。妥協が全くありません」

その上で生まれるのが、シンプルながら、細部までしっかりと詰めて考えられた、凛とした料理。

「私も、今はずっと献立のことを考えていますね。好きなので全く苦ではないのですが、時間がない。1日36時間くらい欲しいです(笑)」

なお、石川氏の経営する3店舗は神楽坂にあったが、2018年6月に蓮のみ銀座に移った。石川氏の師匠である勝又茂美氏の店「梧洋」を引き継ぐ形での移転だ。春日杉の扉、木曽檜の一枚板のカウンター、さりげなく配される骨董。隅々にまで勝又氏の美意識が宿った店を三科氏が継承する。

「勝又さんは、実は私の最初の師匠でもあるんです」と三科氏。勝又氏が川崎で料理長を務めていた店で、三科氏は調理師学校時代にアルバイトとして働いた。卒業後は、調理師学校の職員を務めるも、しかしやはり現場に出たい、という三科氏を迎え入れたのが勝又氏だった。

「なので、梧洋を蓮が引き継ぐという話を聞いた時は、勝又さんとの特別なつながりを感じました。身が引き締まります」

料理人の晴れ舞台とも言える銀座。抱負はあるか問うと、「店の中に入ってしまえば以前と同じ」と、気負いがない。あくまでも地に足をつけて、今まで通り料理で喜んでもらうことに心血を注ぐ。

蓮 三科惇氏

三科惇
1983年生まれ、神奈川県出身。調理師学校卒業後、学校職員を経て川崎日航ホテル内「築地おつぼ」にて修業。その後「石かわ」「虎白」を経て「蓮」に。2013年からは同店の料理長を務める。

●蓮
東京都中央区銀座7-3-13
TEL 050-3184-0977

※『Nile’s NILE』2019年1月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています

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真のラグジュアリーとは何か

真のラグジュアリーとは何か

ラグジュアリーの定義が、音を立てて変わりゆく時代にあっても、最高峰のプロダクトを手にし、その圧倒的な美しさに触れる高揚感が、人生を鮮やかに彩る原動力であることを、私たちは知っています。
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Nile's NILE Digitalは、物質と精神、伝統と革新、都市の快楽と野生の回復――この相反する要素を「アンビバレンス」として愉しむ、選ばれた冒険者たちのためのプラットフォーム。
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