アート、ロジック、そして生命力

「HAJIME」は二つのジャンルでミシュランの三つ星を獲得した。最初はフランス料理で。その枠を超えたことで一つ星を減らしたが、再びイノベイティブのジャンルで星を取り戻した。この間、米田肇シェフは何を考えたのか。すべてが “型破り”の米田さんは指先から自然の生命力を紡ぎ出す。

Photo Masahiro Goda  Text Junko Chiba

「HAJIME」は二つのジャンルでミシュランの三つ星を獲得した。最初はフランス料理で。その枠を超えたことで一つ星を減らしたが、再びイノベイティブのジャンルで星を取り戻した。この間、米田肇シェフは何を考えたのか。すべてが “型破り”の米田さんは指先から自然の生命力を紡ぎ出す。

HAJIME、料理名「地球」
料理名は「地球」。「宇宙人が地球にやってきたとき、彼らの目にはどんな姿が映るのか。地球に住む人間たちが共感できる地球の姿を、一皿に表現した」と米田さんは言う。

「自然への敬意、地球の循環、ミネラルの表現/山に雨が降り注ぎ、そのひとつひとつが雫になり、葉を伝い、地表に落ち、さまざまな地層を通り/力を抱え、森の中で川の一滴として誕生します」

これは「地球」という皿に添えられた米田肇さんの一文の冒頭である。詩的にして哲学的! 「地球との対話2020」と題された「HAJIME」のコースは、「緑」に始まり「磯」「近海」「地球」「海」「破壊と同化」「希望」「春浅し」「愛」と続く。米田さんが表現したいテーマを決め、そこからストーリーを紡ぎ、料理に反映させているのだという。

このスタイルを生み出したのは、8年前のこと。自分の作る料理に行き詰まりを感じ、フランスの友人の店を手伝ったことがきっかけだ。

  • HAJIME「磯–海の森」HAJIME「磯–海の森」
    「磯–海の森」。牡蠣、ムール貝、雲丹、キャビア、ボタンエビ、鱈の白子、胡瓜、ブロッコリー……磯から深い海へと森が続き、懐かしいような新しい世界が広がる。
  • HAJIME「磯–海の森」HAJIME「磯–海の森」
    「磯–海の森」は仕上げに本物の海水を注ぐ。磯の空間を、潮の香りとともに再現する“HAJIMEマジック”だ。
  • HAJIME「磯–海の森」
  • HAJIME「磯–海の森」

「私がどんな料理を作っているのかを聞いた彼に、『それは良くない。肇の料理じゃあない。君が修業してきた店のシェフの料理だ』と言われたんです。ハッとしました。フランスに生まれ育った人とは、そもそも美意識が違うのだと気づいたんです。
そこから自分の美意識は何だと考え始め、自分が幼少期を過ごした大阪の枚方という田舎の風景に行き着きました。誰から何を教わったわけでもない幼い自分が四季折々の自然に感じた美しさこそ原点だと。その美意識を表現しようと思って、フランス料理をすっぱりやめたんです」

店は文字通り「ガラリと変わった」。ランチ営業はやめて、料理はディナー一本、3コースに絞った。それにより「これまで以上においしい食材を吟味し、手間と時間をかけて料理を作る」態勢を整えたのだ。もちろん頭の中はいつも料理のことでいっぱい。「日々暮らす中で感じたことからインスピレーションを得て、料理に結実する」ことも多いらしい。

それにしても一皿一皿が美しい。「料理はアートである」という言葉がしっくりはまる “出来栄え”だ。

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真のラグジュアリーとは何か

真のラグジュアリーとは何か

ラグジュアリーの定義が、音を立てて変わりゆく時代にあっても、最高峰のプロダクトを手にし、その圧倒的な美しさに触れる高揚感が、人生を鮮やかに彩る原動力であることを、私たちは知っています。
物質的な豊かさが、依然として私たちの精神を支える強靭な基盤であることに、言を俟ちません。
真の贅沢はそこから始まります。
アルゴリズムが弾き出す「正解」を疑い、自らの審美眼と直感で未踏の価値を切り拓く。
その「知的冒険」こそが、グローバリズム崩壊後の世界に残された、最後のラグジュアリーではないかと考えます。
Nile's NILE Digitalは、物質と精神、伝統と革新、都市の快楽と野生の回復――この相反する要素を「アンビバレンス」として愉しむ、選ばれた冒険者たちのためのプラットフォーム。
混沌を優雅にサバイブするための視座と、本物の体験へのアクセス権。
ここはまさにDesigning for the Exceptionalsの砦。
知的冒険者たちが集い、次なる航路を描くための、現代の港となります。

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