函館愛を素材に重ね

ル・ブルギニオンの菊地美升さんは、年に2、3回は故郷の函館に帰省し、生産者の方々も訪ねるという。提供する料理にも函館やその近辺産の素材とフランス産食材が併存する。菊地さんにとって地産地消とは。

Photo Hareko Amakata Text Izumi Shibata

ル・ブルギニオンの菊地美升さんは、年に2、3回は故郷の函館に帰省し、生産者の方々も訪ねるという。提供する料理にも函館やその近辺産の素材とフランス産食材が併存する。菊地さんにとって地産地消とは。

ル・ブルギニオン。おぐにビーフのサーロイン、ジェットファームのグリーンアスパラガス添え
おぐにビーフのサーロインをふっくらと焼き、ジェットファームのグリーンアスパラガスを添えた。サーロインはサシの量がほどよく、赤ワインソースがよく絡む。アスパラガスはパキッとした歯ごたえで、ジューシーかつ風味豊か。こちらもたっぷりと楽しむ。

今回紹介したジェットファームのグリーンアスパラガスとおぐにビーフの牛肉も、店に欠かせない存在。
「ジェットファームはグリーンアスパラガス専門の農家さん。農園主の長谷川博紀さんの職人的で熱い人柄を反映した、格別に上質なアスパラガスを作っています」

一方のおぐにビーフの和牛はブフ・ブルギニオン(煮込み)にする首肉や、シンプルに焼いて提供するサーロインを主に仕入れる。なお、「サーロインをシンプルに焼いた料理を、私は長らく作っていなかったんです」と言う。しかし店を長く続けるということは、お客と一緒に年を重ねるということ。
「お客様から徐々に“柔らかい牛肉の料理”というご要望が増えてきました。それで赤身のおいしいおぐに牧場のサーロインを4年ほど前から使うようになり、好評です」

こうした生産者たちとのつながりのベースには、当然ながら信頼がある。感想と感謝を密に伝えることで、心許す関係を築いてきた。「これからも長く皆さんの素材は使わせていただきたいです」と話す。

ただし常に同じ素材を使い続け、お客を飽きさせてもいけない。「なので、たとえば“王様しいたけ”なら、料理に登場するのはおおよそ2年に1回。それで15年以上経ちます」。誠実な関係を長く続ける。
「つながりは途切れないように、ということは大事に思っていますね」

今、「ル・ブルギニオン」で提供する料理には函館やその近辺産の素材と、フランス産食材が併存する。ワインも同様だ。「自分の中でフランスの食への愛が消えることはないと思いますが、故郷愛がそこに重なってきました」と菊地さん。
「年とともに、函館愛は強まっています」と笑う。

ル・ブルギニオン 菊地美升氏

菊地美升 きくち・よしなる
1966年、北海道生まれ。辻調理師専門学校卒業後、六本木「オー・シザーブル」や勝どき「クラブNYX」を経て、91年渡欧。リヨン近郊「プーラルド」、モンペリエ「ル・ジャルダン・デ・サンス」、ボーヌ「レキュソン」、フィレンツェ「エノテカ・ピンキオーリ」で修業。96年に帰国し、表参道「アンフォール」でシェフを務める。2000年に独立し、西麻布「ル・ブルギニオン」をオープン。

●ル・ブルギニオン
東京都港区西麻布3-3-1
TEL 03-5772-6244
le-bourguignon.jp

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真のラグジュアリーとは何か

真のラグジュアリーとは何か

ラグジュアリーの定義が、音を立てて変わりゆく時代にあっても、最高峰のプロダクトを手にし、その圧倒的な美しさに触れる高揚感が、人生を鮮やかに彩る原動力であることを、私たちは知っています。
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その「知的冒険」こそが、グローバリズム崩壊後の世界に残された、最後のラグジュアリーではないかと考えます。
Nile's NILE Digitalは、物質と精神、伝統と革新、都市の快楽と野生の回復――この相反する要素を「アンビバレンス」として愉しむ、選ばれた冒険者たちのためのプラットフォーム。
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