神経締め、墨・血抜きして極上に

赤崎町出身の漁師・小掠誠さんは、釣り上げた白イカを船上で神経締めと墨抜き、血抜きまで徹底して行う。こうすることで、2日目でも新鮮で甘みもあるおいしいイカが出来上がるという。

Photo TONY TANIUCHI  Text Rie Nakajima

赤崎町出身の漁師・小掠誠さんは、釣り上げた白イカを船上で神経締めと墨抜き、血抜きまで徹底して行う。こうすることで、2日目でも新鮮で甘みもあるおいしいイカが出来上がるという。

赤碕町出身の漁師、小掠誠さん
地元出身の漁師、小掠誠さん。釣り好きが高じて、迷わず漁師の道に進んだ。「海誠丸」で春から秋は神経締め、墨抜き、血抜きを徹底して行う「鳥取墨なし白イカ」をとる。10月からは2.5kg以上の鰆を、釣り上げてすぐに船上で脳殺する「船上活〆釣サワラ」として出荷している。

鳥取の夏を代表する魚介といえば、白イカ(ケンサキイカ)だ。6月から11月の日本海では、漁火をともしながら、白イカを釣る。

近年、赤碕町漁業協同組合では若手の漁師らを中心に、白イカのブランド化を進めてきた。そのリーダー的存在であるのが、「海誠丸」の小掠誠さんだ。まだ31歳ながら漁師としての確たるプライドを持って取り組んでいる。

「僕は釣り好きが高じて漁師になりました。とにかく魚が好きだし、赤碕の旨い魚介を大勢の人に、おいしい状態で食べてほしい一心で、白イカを釣り上げてすぐに、船上で神経締めと墨抜き、そして血抜きを徹底してやっています」

鳥取で白イカと呼ぶのは、ケンサキイカのこと。ヤリイカ、アオリイカと並ぶ高級イカではあるが、山陰と九州北部が産地となっている。だからこそ、小掠さんは他の地域との差別化を図るための取り組みとして、“神経締め”と“墨抜き”の両方をやることを模索し始めたという。

「釣り上げた瞬間に神経締めをしなければならないので、手間はかかるし、漁獲量が減るというデメリットはあります。いろいろと試して、医療用の道具を活用して、今では手早く、神経締めをして、墨を抜き、さらに流水で血抜きまですることを徹底しています。
それとイカは真水が大敵。雨が一滴当たったくらいでイカの繊維が壊れてしまう。雨の日は、海水をためたいけすの中で、丁寧に処理をするんです」
話す小掠さんの横顔からは、白イカに対する愛情と本物の漁師のプライドを感じた。

鳥取の白イカは、新鮮なものほど身が厚く、もっちりとしていて、甘みと旨みが強い。この新鮮な状態が神経締めと墨抜きの処理をすることで、1週間程度同じ“鮮度”で味わえるという。

赤碕町漁協で前日に小掠さんが釣り上げ、冷蔵庫に1日入れてあった2日目の白イカを神田さんと鳥取の料理人とともに試食。白イカの皮をはぐと、その身が現れる。

「透明感があって、きれい! 普通1日以上経っていたら、身はゆでたみたいに真っ白い状態なのに、神経締めしたイカは、釣ったばかりのようにまだまだ透明だし、イカの筋肉組織が壊れていないから食感がもっちりしている。ものすごく甘みもありますね。それに墨抜きもしっかりされているから、さばく時に水を使わずに済むのもいい。小掠さんが精度の高い処理をしているから、こんなにもおいしいんでしょうね」
神田さんは感心しきりだった。

1 2
真のラグジュアリーとは何か

真のラグジュアリーとは何か

ラグジュアリーの定義が、音を立てて変わりゆく時代にあっても、最高峰のプロダクトを手にし、その圧倒的な美しさに触れる高揚感が、人生を鮮やかに彩る原動力であることを、私たちは知っています。
物質的な豊かさが、依然として私たちの精神を支える強靭な基盤であることに、言を俟ちません。
真の贅沢はそこから始まります。
アルゴリズムが弾き出す「正解」を疑い、自らの審美眼と直感で未踏の価値を切り拓く。
その「知的冒険」こそが、グローバリズム崩壊後の世界に残された、最後のラグジュアリーではないかと考えます。
Nile's NILE Digitalは、物質と精神、伝統と革新、都市の快楽と野生の回復――この相反する要素を「アンビバレンス」として愉しむ、選ばれた冒険者たちのためのプラットフォーム。
混沌を優雅にサバイブするための視座と、本物の体験へのアクセス権。
ここはまさにDesigning for the Exceptionalsの砦。
知的冒険者たちが集い、次なる航路を描くための、現代の港となります。

NILE'S MEMBERS

新規メンバー募集開始

選ばれたひと、こと、もの情報
「LUXE LIFE STYLE」をともに過ごす新会員を募集します。

*会費等一切かかりません(無料)