夏の出合いもの—スイカと山椒

「スイカには、柑橘の香りがよく合う」ところから発想。山本征治氏は「スイカの旨さの相乗効果を生むパートナー」として、ミカン科の山椒に白羽の矢を立てた。供されたのはスイカの甘みに、ピリリとスパイシーなパンチがきいたデザートだ。

Photo Masahiro Goda  Text Junko Chiba

「スイカには、柑橘の香りがよく合う」ところから発想。山本征治氏は「スイカの旨さの相乗効果を生むパートナー」として、ミカン科の山椒に白羽の矢を立てた。供されたのはスイカの甘みに、ピリリとスパイシーなパンチがきいたデザートだ。

西瓜の料理。龍吟 山本征治氏
「スイカには産地などにとくに強いこだわりはない」山本氏が使った“本日のスイカ”は、友人シェフが送ってくれた長野県松本市の「2代目ゴンちゃんスイカ」。上品な甘みが魅力だ。ノコギリで切り、包丁で表面を整えたという。

ちなみに形状は、「スイカにトッピングをして、横に持ってサクサクッと食べていただく」ことをイメージした結果、ピザのようになったとか。扇形にカットされたこの“スイカと山椒のピザ”をかじると、シャキシャキの歯触りが心地良く、同時にスパイシーな香りが口中に広がる。夏気分全開になる逸品である。

「実はもう一つ、テーブルで丸のままのスイカをパーン! と割って、ぐしゃぐしゃに形の崩れたものをかぶりつくような“料理”も考えたんです。子供の頃のスイカ割り、あれがスイカの一番の食べ方じゃないかなという思いがあって。おいしいですよね、キンキンに冷えたスイカを、海辺でかち割って食べるのって」

遠い目をする山本氏。今はもっぱら、スイカはジュースで「ガバガバ飲む」スタイル。「日本のスイカは甘くて濃いので、ジュースにした方が、スイカよりスイカになる」そうだ。

「あとジャムがいい。30度で湯煎をかけながら真空蒸留器で沸騰させると、水分がどんどん飛んで、すごくフレッシュなジャムができます。それをスイカにかけて食べる。最高ですよ。またスイカのジュースにコアントローなどをたらすと、とても香りのいいカクテルになります」

スイカ好きを自認する山本氏は、スイカをおいしく楽しむ多彩な方法を熟知している料理人と言えよう。

龍吟 山本征治氏

山本征治 やまもと・せいじ
1970年、香川県生まれ。四国調理師専門学校を卒業後、14年間の修業時代を経て2003年、六本木に「龍吟」をオープン。12年に香港で、14年には台北でも「龍吟」をプロデュースする。「世界のシェフ100人」で5年連続世界トップ10入りを果たすなど、国内外で高い評価を得る。18年、東京ミッドタウン日比谷に移転。『ミシュランガイド東京』では10年連続で三つ星として掲載される。

●龍吟
東京都千代田区有楽町1-1-2
東京ミッドタウン日比谷7F
TEL 03-6630-0007
www.nihonryori-ryugin.com

※『Nile’s NILE』2021年9月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています

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真のラグジュアリーとは何か

真のラグジュアリーとは何か

ラグジュアリーの定義が、音を立てて変わりゆく時代にあっても、最高峰のプロダクトを手にし、その圧倒的な美しさに触れる高揚感が、人生を鮮やかに彩る原動力であることを、私たちは知っています。
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アルゴリズムが弾き出す「正解」を疑い、自らの審美眼と直感で未踏の価値を切り拓く。
その「知的冒険」こそが、グローバリズム崩壊後の世界に残された、最後のラグジュアリーではないかと考えます。
Nile's NILE Digitalは、物質と精神、伝統と革新、都市の快楽と野生の回復――この相反する要素を「アンビバレンス」として愉しむ、選ばれた冒険者たちのためのプラットフォーム。
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