相模湾・乱舞する朝獲れ魚たち 平塚編

海・山・川の恵みが混じり合う相模湾。この特殊な地形こそが、相模湾に豊漁をもたらすのだ。おいしい魚を求めて、相模湾のおひざ元、小田原漁港と平塚漁港に行ってみた。

Photo Masahiro Goda  Text Junko Chiba

海・山・川の恵みが混じり合う相模湾。この特殊な地形こそが、相模湾に豊漁をもたらすのだ。おいしい魚を求めて、相模湾のおひざ元、小田原漁港と平塚漁港に行ってみた。

ひらつかタマ三郎漁港
ひらつかタマ三郎漁港は、平塚市にある漁港。16世紀半ばには組織的な漁業が行われ、江戸時代には幕府公認の七つの湊(みなと)の一つに数えられたという。現在はアジ・イワシなどを獲る定置網漁業とシラス船びき網漁業を中心に、ヒラメやシタビラメを獲(と)る刺し網などが行われる。

ひらつかタマ三郎漁港(平塚漁港)

昼前、平塚に向かう。折しも1艘の漁船が帰って来た。しらす漁に出ていた丸八丸だ。ほどなくトレードカラー・ピンクの胸あてパンツを着た4人の男たちが陸に上がってきた。3度目の漁を終えたところだという。

しらす漁は魚群探知機が示す場所に網をかけ、手繰り寄せて獲る。だいたい日の出前の4時半ごろに出て、満足のいく量が獲れたら7時か8時に終了。それより少ないと、昼ごろまで粘ることもあるし、この日の丸八丸のように一度帰って水揚げした上で2度、3度、出ていく場合もある。

「最後に獲れた分は、船で沖漬けにしてきたよ」と船上の漁師さん。生しらすに菌がつかないよう、獲ってすぐ、氷や水に一度も触れさせずに、特製だれに漬け込むそうだ。これを1週間ほど熟成させて冷凍保存したものを解凍しながら食べ、少しずつ変化するのを味わう。乙な楽しみ方だ。

こうして“海部隊”が獲ったしらすは、“陸部隊”の手に渡り、“商品化”される。新鮮なままいただくのが、「朝獲れ生しらす」。店舗でのみ販売される。何しろ夜にはもう“プリッ感”が減ってベチャッとするので、うまい生しらすにありつけるかどうかは時間との勝負なのだ。
ポピュラーなのは「釜揚げしらす」だろう。そのままご飯にのせたり、酒のつまみにしたり、あるいはチャーハンや卵焼きなど、どう料理してもうまい。
ほかに、釜揚げしらすを水分がなくなるまで干してうまみを凝縮させた「ちりめん」や、生しらすを天日干しにして薄い板状にした「たたみいわし」など、さまざまに楽しめる。

「ここでは昔から一つの漁業者が獲って、加工・製造して、販売してと、全部をこなしています。『漁業の6次産業化』を実践しているんですよね」と漁協の伏黒哲司氏。平塚漁港で獲れるおいしい地魚を普及させた立役者の一人である。
今でこそ、JA湘南の魚コーナーで販売する朝獲れの地魚は大人気だし、2014年にオープンした平塚漁港の食堂は連日大盛況。「平塚の地魚はおいしい」と地元民に親しまれているが、十数年前まではここに漁港があることすら知らない市民が少なくなかったそうだ。 というのも定置網漁で獲った多種多彩な魚の8割が、横浜や小田原の魚市場に出荷されていたからだ。

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真のラグジュアリーとは何か

真のラグジュアリーとは何か

ラグジュアリーの定義が、音を立てて変わりゆく時代にあっても、最高峰のプロダクトを手にし、その圧倒的な美しさに触れる高揚感が、人生を鮮やかに彩る原動力であることを、私たちは知っています。
物質的な豊かさが、依然として私たちの精神を支える強靭な基盤であることに、言を俟ちません。
真の贅沢はそこから始まります。
アルゴリズムが弾き出す「正解」を疑い、自らの審美眼と直感で未踏の価値を切り拓く。
その「知的冒険」こそが、グローバリズム崩壊後の世界に残された、最後のラグジュアリーではないかと考えます。
Nile's NILE Digitalは、物質と精神、伝統と革新、都市の快楽と野生の回復――この相反する要素を「アンビバレンス」として愉しむ、選ばれた冒険者たちのためのプラットフォーム。
混沌を優雅にサバイブするための視座と、本物の体験へのアクセス権。
ここはまさにDesigning for the Exceptionalsの砦。
知的冒険者たちが集い、次なる航路を描くための、現代の港となります。

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