胡瓜を極める-川田智也 茶禅華

「きゅうりは、本来は名脇役だと思います」と川田智也さん。それゆえきゅうりをテーマに3品を考案する今回の企画は簡単なものではなかったという。しかし川田さんが普段から掲げる「和魂漢才」を生かすことで、きゅうりの繊細な魅力を引き立てることに成功。まさに「茶禅華のきゅうり料理」と呼ぶにふさわしい3品が出来上がった。

Photo Masahiro Goda Text Izumi Shibata

「きゅうりは、本来は名脇役だと思います」と川田智也さん。それゆえきゅうりをテーマに3品を考案する今回の企画は簡単なものではなかったという。しかし川田さんが普段から掲げる「和魂漢才」を生かすことで、きゅうりの繊細な魅力を引き立てることに成功。まさに「茶禅華のきゅうり料理」と呼ぶにふさわしい3品が出来上がった。

茶禅華 川田智也氏
茶禅華 川田智也氏。

「今回は、きゅうりでなくてはダメ、となる料理を意識しました。ひとひねりが必要です。なにしろ、すごく静かな声を発する子たちですから(笑)」
爽やかさ、清らかさ、かすかな苦み。きゅうりの風味はささやかだ。それをすくい上げたい、というのが川田さんのテーマとなった。

そんな川田さんが今回考案した3品では、茶禅華のモットーである「和魂漢才」、すなわち「日本の感性と中国料理の技術の調和」が生かされている。まず3品とも、きゅうりの優しい個性に合わせて、料理のトーンは全体的に穏やかにした。しかし、ただ穏やかなのではなく、その中にも繊細な抑揚を作り、きゅうりの個性を浮かび上がらせる。その際に用いるのは、素材の持ち味を殺さないクリアな旨みや味付け。こうした繊細さ、クリアな旨みや味付けへの志向は、日本料理らしい感性からくるものだ。

金沢産 加賀太きゅうり

加賀太きゅうりを用いた温かい料理(茶禅華 川田智也 氏)
金沢
加賀太きゅうりを用いた温かい料理。「加熱した加賀太きゅうりの、爽やかなメロンのような香りを生かしたくて考えました」と川田さん。鱧のだしで炊いた加賀太きゅうりを鱧で包み、クリアな旨みが特徴の雉の上湯に軽くとろみをかけた。好みですだちの汁を搾る。温かい料理でありながら、食べ終えると口でも胃でも清涼感のある一品だ。具体的な仕立てとしては、鱧は骨切りして葛を打ち、さっとゆでる日本料理の技法で。一方、雉の上湯には加賀太きゅうりの皮をごく細かく切って加え、翡翠仕立てに。
「皮の風味は強く、ここに一番おいしさや風味がある」
鱧と雉の風味と旨みを、加賀太きゅうりがつなぐ一品に仕上がった。

たとえば加賀太きゅうりと鱧(はも)の料理では、仕上げに、軽くとろみをつけた雉(きじ)の上湯をかける。ここで雉の上湯を使ったのは、それが中国料理のスープの中で最もきれいな旨みを表現できると考えるから。「通常の豚や鶏で作る上湯では強すぎる。雉の上湯は、日本料理の一番だしと同じ世界観だと思っています」

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真のラグジュアリーとは何か

真のラグジュアリーとは何か

ラグジュアリーの定義が、音を立てて変わりゆく時代にあっても、最高峰のプロダクトを手にし、その圧倒的な美しさに触れる高揚感が、人生を鮮やかに彩る原動力であることを、私たちは知っています。
物質的な豊かさが、依然として私たちの精神を支える強靭な基盤であることに、言を俟ちません。
真の贅沢はそこから始まります。
アルゴリズムが弾き出す「正解」を疑い、自らの審美眼と直感で未踏の価値を切り拓く。
その「知的冒険」こそが、グローバリズム崩壊後の世界に残された、最後のラグジュアリーではないかと考えます。
Nile's NILE Digitalは、物質と精神、伝統と革新、都市の快楽と野生の回復――この相反する要素を「アンビバレンス」として愉しむ、選ばれた冒険者たちのためのプラットフォーム。
混沌を優雅にサバイブするための視座と、本物の体験へのアクセス権。
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