料理の美・空間の美

今年の2月、「日本料理かんだ」は開業の地である元麻布から虎ノ門に移転した。新しい店舗は杉本博司さんが主宰する建築設計事務所「新素材研究所」の手によるもので、日本の伝統的な美意識と、モダンな感性が融合されているのが特徴。神田裕行氏が新しい境地に臨むにふさわしい、清々しい空気に満ちている。

Photo Masahiro Goda Text Izumi Shibata

今年の2月、「日本料理かんだ」は開業の地である元麻布から虎ノ門に移転した。新しい店舗は杉本博司さんが主宰する建築設計事務所「新素材研究所」の手によるもので、日本の伝統的な美意識と、モダンな感性が融合されているのが特徴。神田裕行氏が新しい境地に臨むにふさわしい、清々しい空気に満ちている。

  • 日本料理かんだ。(左)「かんだ」の文字を彫った石碑/(右)店の入り口と、カウンターを備える部屋をつなぐ通路日本料理かんだ。(左)「かんだ」の文字を彫った石碑/(右)店の入り口と、カウンターを備える部屋をつなぐ通路
    (左)庭には灯籠、祠、井戸などが点在する。「かんだ」の文字を彫った石碑もその一つ。
    (右)店の入り口と、カウンターを備える部屋をつなぐ通路。右はウェイティングスペースで、そのデザインは茶室に併設される待合席のよう。
  • 日本料理かんだ(個室)。シンプルな中にも優美さを備えた空気をつくる日本料理かんだ(個室)。シンプルな中にも優美さを備えた空気をつくる
    カウンターのほか、個室を1室設ける。カウンターの部屋の床石は力強さが魅力だが、こちらの個室の床石はなめらかで洗練された印象。黒い色もスタイリッシュ。シンプルな中にも優美さを備えた空気をつくる。
  • 日本料理かんだ。(左)「かんだ」の文字を彫った石碑/(右)店の入り口と、カウンターを備える部屋をつなぐ通路
  • 日本料理かんだ(個室)。シンプルな中にも優美さを備えた空気をつくる

なお、カウンター奥の壁の棚は、あえて元麻布の店を彷彿とさせるデザインとしている。盟友にして若くして亡き人となった前店の設計者の造形を引き継いだ。

この空間で、神田さんはあと12年間カウンターに立つ予定だという。
「今私は58歳。現代は70歳まで現役という時代」と話す。「12年は約4400日で、そのうち休みの日もあるから営業できるのは3000日くらいでしょう。人生は有限。その中で精一杯のことをやろうと思っています」

神田裕行氏

神田裕行 かんだ・ひろゆき
1963年、徳島県生まれ。大阪などでの日本料理修業を経て、23歳で渡仏。パリの日本料理店で5年間料理長を務める。91年に帰国し、料亭で経験を重ねつつ、姉妹店の開業も指揮する。2004年独立。07年『ミシュランガイド東京』で三つ星を獲得。『日本料理の贅沢』(講談社現代新書)などの著書を刊行。21年ミシュランガイド「メンターシェフアワード」に選出される。22年2月、虎ノ門ヒルズレジデンシャルタワーの1階に移転する。

●日本料理かんだ
東京都港区愛宕1-1-1
虎ノ門ヒルズレジデンシャルタワー1階
TEL 03-5786-0150
www.nihonryori-kanda.com

▼料理の美・空間の美 関連記事
料理の美・空間の美
共鳴する思念

1 2 3
真のラグジュアリーとは何か

真のラグジュアリーとは何か

ラグジュアリーの定義が、音を立てて変わりゆく時代にあっても、最高峰のプロダクトを手にし、その圧倒的な美しさに触れる高揚感が、人生を鮮やかに彩る原動力であることを、私たちは知っています。
物質的な豊かさが、依然として私たちの精神を支える強靭な基盤であることに、言を俟ちません。
真の贅沢はそこから始まります。
アルゴリズムが弾き出す「正解」を疑い、自らの審美眼と直感で未踏の価値を切り拓く。
その「知的冒険」こそが、グローバリズム崩壊後の世界に残された、最後のラグジュアリーではないかと考えます。
Nile's NILE Digitalは、物質と精神、伝統と革新、都市の快楽と野生の回復――この相反する要素を「アンビバレンス」として愉しむ、選ばれた冒険者たちのためのプラットフォーム。
混沌を優雅にサバイブするための視座と、本物の体験へのアクセス権。
ここはまさにDesigning for the Exceptionalsの砦。
知的冒険者たちが集い、次なる航路を描くための、現代の港となります。

NILE'S MEMBERS

新規メンバー募集開始

選ばれたひと、こと、もの情報
「LUXE LIFE STYLE」をともに過ごす新会員を募集します。

*会費等一切かかりません(無料)