料理人の目・手・技

「分とく山」総料理長の野﨑洋光さんに、『仕掛人・藤枝梅安』の江戸後期の食文化と「料理の目・手・技」を教えていただこう。

Photo Masahiro Goda  Text Junko Chiba

「分とく山」総料理長の野﨑洋光さんに、『仕掛人・藤枝梅安』の江戸後期の食文化と「料理の目・手・技」を教えていただこう。

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  • 分とく山 野﨑洋光。料理の目・手・技
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「一番のごちそうは、江戸前の魚を使った料理です。江戸湾には隅田川や神田川を始め、たくさんの川が流れ込んでいました。当時は、川の淡水と海の塩水が混じり合ったところで、ハマグリやアサリ、シャコなど、独特の味わいのあるおいしい魚介がとれたんです。梅安は貝好きで、よくアサリを食べてますよね。
少し時代が下がると、川や運河が縦横に整備され、船宿で新鮮な魚料理が味わえるようになりました。
また江戸で特徴的なのは、白米をたくさん食べたこと。醤油文化で、おかずの味付けが濃いから、希釈するために白米が必要なんです。これはおかゆで嵩増しする関西との大きな違いです。

もっとも白米にしろ、千葉あたりから船で運ばれる醤油や野菜にしろ、あるいはお酒だって、一般庶民にとっては高級品でした。あと軍鶏(しゃも)とか鶏肉なんかも“ 如何物(いかもの)食い”的なもので、遊び人しか口にできなかったでしょう。時代を踏まえつつ、ぜいたくな食文化を練り込むあたり、池波さんならではの味付けだと感心します」

野﨑さんによると、映画における料理監修は「使う食材や料理が時代に応じてマルかバツかを見極めたうえで『これはあったかも』と思える△の部分で想像力を膨らませるのがおもしろいところ」だという。
なるほど……一度、“料理視点”で映画を鑑賞するのもいい。従来のおもしろさ+αの新鮮な発見があるはずだ。

分とく山 野﨑洋氏

野﨑洋光 のざき・ひろみつ
1953年、福島県生まれ。武蔵野栄養専門学校卒業後、「東京グランドホテル」「八芳園」を経て、「とく山」の料理長に就任。89年、西麻布に日本料理店「分とく山」を開店。現在は、移転した南麻布の「分とく山」を始めとするグループ5店舗の総料理長を務める。著書『池波正太郎の江戸料理を食べる』(朝日新聞出版)や、江戸料理を再現したDVD『池波正太郎の江戸料理帳』など、江戸料理の造詣が深い。

●分とく山
東京都港区南麻布5-1-5
TEL 03-5789-3838
waketoku.com

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Nile's NILE Digitalは、物質と精神、伝統と革新、都市の快楽と野生の回復――この相反する要素を「アンビバレンス」として愉しむ、選ばれた冒険者たちのためのプラットフォーム。
混沌を優雅にサバイブするための視座と、本物の体験へのアクセス権。
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