100年記憶に残る味 後編

東京にあって、懐石料理の神髄を受け継ぐ数少ない名店として燦然と輝く「懐石 小室」。主人である小室光博氏から生まれる料理に貫かれる美意識を探る。

Photo Masahiro Goda  Text Hiroko Komatsu

東京にあって、懐石料理の神髄を受け継ぐ数少ない名店として燦然と輝く「懐石 小室」。主人である小室光博氏から生まれる料理に貫かれる美意識を探る。

  • 小室の名前を焼き込んだ八寸皿小室の名前を焼き込んだ八寸皿
    額装し、エントランス近くの壁に飾られた小室の名前を呉須で焼き込んだ八寸皿。3代目の須田菁華(すだせいか)によるもの。
  • 燗鍋燗鍋
    500〜600年前と推測される、明の時代の七宝焼のふたに、江戸中期に酒つぎの部分を合わせて造らせた、燗鍋(かんなべ)の名品。
  • 小室の名前を焼き込んだ八寸皿
  • 燗鍋

100年記憶に残る味 前編 より続く

また、小室氏といえば、器へのひとかたならぬこだわりでも知られるが、これは、遠州流の綺麗さびの影響が大きいという。器のために、1室倉庫を借りているほどだが、「見事!」と感じると、また購入してしまう。小室氏にとっての器は、まさにアートなのである。
新店へ移転してもうすぐ4年になるが、数寄屋建築は京都の木島徹(きじまてつ)氏に任せたという。端正かつゆったりとゆとりのある店内は、器同様、料理の味をひと味もふた味も格上げしてくれる。

しかし、こうした芸術への学びは、料理関係に限ったことではない。

「昨日も市川海老蔵さんの『アース&ヒューマン』を観に行ったのですが、素晴らしかったです。これまで、海老蔵さんのことは、歌舞伎のうまい人としか思っていなかったのですが、今回は、人間としてすごいなと、驚かされました。気付けば55になってしまいましたが、60を区切りに、自分の料理を完成させていくためにも、もっと、もっと緊密な時間を過ごさなければいけないなと、つくづく思いました」と振り返る。

また、2021年の春には、反田恭平(そりたきょうへい)氏のコンサートにも足を運んだそう。ショパンコンクール前のことであるから、さすが見る目が高い。感動したのはもちろんのこと、乗っている“旬の人”にはすごい力があるというのを何より感じたという。そうしたパワーやオーラをできる限り吸収すべく、いろいろな舞台を観に行くようにしているのだそう。

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真のラグジュアリーとは何か

真のラグジュアリーとは何か

ラグジュアリーの定義が、音を立てて変わりゆく時代にあっても、最高峰のプロダクトを手にし、その圧倒的な美しさに触れる高揚感が、人生を鮮やかに彩る原動力であることを、私たちは知っています。
物質的な豊かさが、依然として私たちの精神を支える強靭な基盤であることに、言を俟ちません。
真の贅沢はそこから始まります。
アルゴリズムが弾き出す「正解」を疑い、自らの審美眼と直感で未踏の価値を切り拓く。
その「知的冒険」こそが、グローバリズム崩壊後の世界に残された、最後のラグジュアリーではないかと考えます。
Nile's NILE Digitalは、物質と精神、伝統と革新、都市の快楽と野生の回復――この相反する要素を「アンビバレンス」として愉しむ、選ばれた冒険者たちのためのプラットフォーム。
混沌を優雅にサバイブするための視座と、本物の体験へのアクセス権。
ここはまさにDesigning for the Exceptionalsの砦。
知的冒険者たちが集い、次なる航路を描くための、現代の港となります。

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