簡素にして独自の美学 後編

日本料理の伝統、魯山人の教え、茶懐石の真髄を体現している「辻留」の料理。そのベースの上に藤本竜美氏の柔軟な心が重なり、他にない魅力を放ち続ける。

Photo Satoru Seki  Text Izumi Shibata

日本料理の伝統、魯山人の教え、茶懐石の真髄を体現している「辻留」の料理。そのベースの上に藤本竜美氏の柔軟な心が重なり、他にない魅力を放ち続ける。

懐石 辻留
正月の晴れやかな気分をもり立てる伊勢海老の舟盛り。伊勢海老は、三重県産の、身がひときわ甘く旨いものを仕入れ、素材そのものの滋味を味わってもらう。なお辻留は茶懐石にのっとり、向付(造り)は基本的には一種盛りとしている。

簡素にして独自の美学 前編 より続く

このように、日本料理の伝統の芯を捉えた料理を作る藤本氏だが、意外にも料理のインスピレーションは幅広い文化から得ているという。「たとえば音楽はクラシックもポップスも聴きます。やはり心に響くのは、誰もが美しいと感じる安心できるメロディーと、起承転結がある曲」

このように少し分析的に曲を捉えることで、学ぶことは多いという。「料理も同じ。皆に親しまれる素材を使ながら、コースの展開でその素材の魅力をより強く感じていただける流れを作るように心がけています」。

また、「ドラマを見るのも好きです」とも。ちなみに藤本氏の近頃のお気に入りのドラマは、大学生の娘と共に見る韓流ドラマ。大胆な展開に惹かれるという。「音楽も韓流は好きです。BTSなども聴きますよ(笑)。聴いていて楽しいですし、やはり売れる音楽には理由があります」と話す。日本料理の伝統、魯山人の教え、茶懐石の真髄を体現している辻留の料理。そのベースの上に、藤本氏の柔軟な心が重なる。だからこそ辻留の料理は格調がありながら生き生きとした、シンプルなようでいて他にない魅力を放ち続けるのだろう。

懐石 辻留
(左)陶芸を能くした辻義一氏に憧れ、藤本氏も若い頃陶芸教室に通った。その時に作った、織部の小ぶりのご飯茶わん。
(右)右から鱧切り包丁、柳刃包丁、出刃包丁。柳刃と出刃は長年使い、研ぎ続けることでずいぶんと短くなったが、大切に愛用する。
懐石 辻留 藤本竜美氏

藤本竜美 ふじもと・たつみ
1966年生まれ、山口県出身。仕出し専門店の家に生まれ、幼少より料理に親しむ。高校卒業後「辻留」赤坂店に入り、辻嘉一氏、義一氏に学ぶ。同店にて経験を重ね、2016年頃より料理の責任者を務める。

●懐石 辻留
東京都港区元赤坂1-5-8
虎屋第2ビルB1
TEL 03-3403-3984
tsujitome.com

真のラグジュアリーとは何か

真のラグジュアリーとは何か

ラグジュアリーの定義が、音を立てて変わりゆく時代にあっても、最高峰のプロダクトを手にし、その圧倒的な美しさに触れる高揚感が、人生を鮮やかに彩る原動力であることを、私たちは知っています。
物質的な豊かさが、依然として私たちの精神を支える強靭な基盤であることに、言を俟ちません。
真の贅沢はそこから始まります。
アルゴリズムが弾き出す「正解」を疑い、自らの審美眼と直感で未踏の価値を切り拓く。
その「知的冒険」こそが、グローバリズム崩壊後の世界に残された、最後のラグジュアリーではないかと考えます。
Nile's NILE Digitalは、物質と精神、伝統と革新、都市の快楽と野生の回復――この相反する要素を「アンビバレンス」として愉しむ、選ばれた冒険者たちのためのプラットフォーム。
混沌を優雅にサバイブするための視座と、本物の体験へのアクセス権。
ここはまさにDesigning for the Exceptionalsの砦。
知的冒険者たちが集い、次なる航路を描くための、現代の港となります。

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