440年の味を受け継ぐ

天正年間創業の老舗料亭「山ばな 平八茶屋」は、「京の雪見膳」にて、店の歴史上初めて店以外の場所でとろろを販売。背景には、歴史を次世代に引き継ぐ若旦那の想いがあった。

Photo Shinya Katsura  Text Rie Nakajima

天正年間創業の老舗料亭「山ばな 平八茶屋」は、「京の雪見膳」にて、店の歴史上初めて店以外の場所でとろろを販売。背景には、歴史を次世代に引き継ぐ若旦那の想いがあった。

山ばな 平八茶屋
「うなぎとろろ鍋」。うなぎ、とろろはさっと温める程度でいただくと食感や風味が楽しめる。

「京の雪見膳」で提供するのは、そんな「山ばな 平八茶屋」の原点といえるとろろを、うなぎの白焼きと合わせた「うなぎとろろ鍋」。鮮度の落ちやすいとろろを、出汁で割らずに包装し、冷蔵で届けることで、鮮度を保って配送する。実はとろろを店舗以外で提供するのは初めての試みであり、今回の料理も雪見膳のために作られた自信作だ。

「うなぎは淡白なとろろとの相性が良く、常連さんには時々お出ししていました。今回、うなぎを白焼きにして、しょうゆ地の出汁で鍋にしてみたところ、うなぎの香ばしさと、とろろの香りや風味が相まって、とても温まるお味でした。とろろは煮すぎると固くなるので、半生くらいであげて、食感もお楽しみください」

園部社長は昨年まで料理屋の若旦那の集まりである京都料理芽生会の会長を務め、最近では文化庁の支援で子ども向けの食イベントを実施するなど、多彩な活動を行っている。

「私どもには辞めるという発想はなく、ずっと『どうしたら続けていけるか』ということを考えてきました。食文化を残すことは非常に重要であり、それは一部の食にご理解のある方々だけではなく、広く子どもたちにも伝えなければいけないものです。そのためには、私どものような店も旧態依然ではなく、SNSなども使いながら新しいお客様にアプローチしていかなければなりません。今回の『京の雪見膳』もそうした取り組みの一環であり、これをきっかけに、全国のより多くのお客様に京の味と食文化をお届することができたら何より幸いです」

京都の老舗料亭というと閉じられたイメージもあるかもしれないが、時代は変わる。京料理の誇りはそのままに、コロナ禍によって急速に身近になった一流の味を堪能したい。

山ばな 平八茶屋
歴史と風情を感じさせる店内。
山ばな 平八茶屋 園部晋吾氏

園部晋吾 そのべ・しんご
「山ばな 平八茶屋」21代目当主。1970年京都生まれ。大阪北浜「料亭 花外楼」で修業したのち、家業を継ぐ。料理人兼経営者として邁進する傍ら、特定非営利活動法人日本料理アカデミー地域食育委員長、京都市の食育カリキュラム推進委員などを務め、京の食文化を伝える活動に取り組む。

●山ばな 平八茶屋
京都府京都市左京区山端川岸町8-1
TEL 075-781-5008
heihachi.co.jp

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真のラグジュアリーとは何か

真のラグジュアリーとは何か

ラグジュアリーの定義が、音を立てて変わりゆく時代にあっても、最高峰のプロダクトを手にし、その圧倒的な美しさに触れる高揚感が、人生を鮮やかに彩る原動力であることを、私たちは知っています。
物質的な豊かさが、依然として私たちの精神を支える強靭な基盤であることに、言を俟ちません。
真の贅沢はそこから始まります。
アルゴリズムが弾き出す「正解」を疑い、自らの審美眼と直感で未踏の価値を切り拓く。
その「知的冒険」こそが、グローバリズム崩壊後の世界に残された、最後のラグジュアリーではないかと考えます。
Nile's NILE Digitalは、物質と精神、伝統と革新、都市の快楽と野生の回復――この相反する要素を「アンビバレンス」として愉しむ、選ばれた冒険者たちのためのプラットフォーム。
混沌を優雅にサバイブするための視座と、本物の体験へのアクセス権。
ここはまさにDesigning for the Exceptionalsの砦。
知的冒険者たちが集い、次なる航路を描くための、現代の港となります。

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