自分のルーツ、日本料理の源流 前編

「てのしま」の林亮平氏がめざすのは、日本料理のよりよい未来の実現。「みんなの和食」を掲げ、気取らない雰囲気ながら料亭仕込みの技術による日本料理を味わえる。

Photo Masahiro Goda  Text Izumi Shibata

「てのしま」の林亮平氏がめざすのは、日本料理のよりよい未来の実現。「みんなの和食」を掲げ、気取らない雰囲気ながら料亭仕込みの技術による日本料理を味わえる。

てのしま いとよりの造り
いとよりのお造りに、店で醸している米麹を合わせた一品。いとよりは普段料理店では使われない魚だからこそ、その価値に光を当てるべく、あえて使用。なお米麹をかけたのは、発酵(米麹)と生(いとより)を組み合わせた「即席なれすし」のイメージ。生き生きとしたいとよりに、米麹の深みと自然な甘みが寄り添う。

一つ目の理由は自身のルーツを守るため。林氏の本家がある、そして幼い頃からたびたび訪れている島である手島(てしま※1)の人口が20人をきったこと。
※1 香川県丸亀市の港からフェリーで1時間ほどの場所にある瀬戸内海の小さな島

「このままでは近い将来、島のコミュニティーが消滅してしまうのは目に見えています。だったら私が手島に店を作ろうと考えました。そうすれば島の外から人を呼び、島に雇用を生み出し、人を増やすことができるのでは、と。そこにあった文化が失われてしまうことにも危機感を覚えました」と話す。

また、手島のこのケースは全国の限界集落に共通する問題であることにも気づいた。
「料理人目線からすると、特に郷土料理などの伝統的な食文化が失われるのは絶対に避けなくてはならないと思いました。そして日本料理の料理人こそ、そのための活動をすべきだとも。日本料理の源流は郷土料理にあるのですから」

林氏が独立を決意したもう一つの理由は、「日本料理の進化に取り組む」ため。
「今までの日本料理は、何十年にもわたって、定型を守ることを重視してきたように思います。もちろん伝統の継承も必要ですが、変化に取り組む料理人もいてこそ、発展するのでは。日本料理には今、発想の転換が必要だと思っています」

自分のルーツ、日本料理の源流 後編 へ続く

てのしま 林亮平氏

林亮平 はやし&12539;りょうへい
1976年、香川県生まれ。大学卒業後に「菊乃井本店」(京都)に入り村田吉弘氏に師事。17年間にわたり菊乃井で働く。2011年には上海万博会場の料亭「紫」料理長を務め、菊乃井では本店副料理長や赤坂店渉外料理長を務める。2018年、「てのしま」を独立開業。

●てのしま
東京都港区南青山1-3-21
1-55ビル2F
TEL 03-6316-2150
www.tenoshima.com

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真のラグジュアリーとは何か

真のラグジュアリーとは何か

ラグジュアリーの定義が、音を立てて変わりゆく時代にあっても、最高峰のプロダクトを手にし、その圧倒的な美しさに触れる高揚感が、人生を鮮やかに彩る原動力であることを、私たちは知っています。
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Nile's NILE Digitalは、物質と精神、伝統と革新、都市の快楽と野生の回復――この相反する要素を「アンビバレンス」として愉しむ、選ばれた冒険者たちのためのプラットフォーム。
混沌を優雅にサバイブするための視座と、本物の体験へのアクセス権。
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