美食のバスク 後編

イエズス会を創設し、キリスト教布教のため東洋に向かったバスクの男たち。働くことの価値を守り、頑固だが革新性に富んだ彼らは食の世界をも変えた。

Photo Chiyoshi Sugawara Text Chiyoshi Sugawara

イエズス会を創設し、キリスト教布教のため東洋に向かったバスクの男たち。働くことの価値を守り、頑固だが革新性に富んだ彼らは食の世界をも変えた。

美食のバスク 前編」から続く

ピンチョスの誕生

  • コンチャ湾とサンセバスティアン市街 コンチャ湾とサンセバスティアン市街
    モンテ・イゲルドの展望台から望むコンチャ湾とサンセバスティアン市街。左のモンテ・ウルグルの裾に旧市街が広がり、小さい漁港が。遠くピレネーの峰がかすむ。
  • ビルバオ市庁舎 ビルバオ市庁舎
    1892年完成のビルバオ市庁舎。ネルビオン川岸のサンアグスティン修道院の跡地に建てられ、前にバスクの代表的な現代彫刻家ホルヘ・オテイサの作品「変形する楕円」が。
  • バスクの主要漁港の一つベルメオ バスクの主要漁港の一つベルメオ
    バスクの主要漁港の一つベルメオ。港の背後は坂道の狭い路地が続き、15世紀末から17世紀の初めにはビスカイアの首都が置かれた街。
  • 港町ゲタリア 港町ゲタリア
    魚介の炭火焼きとチャコリで有名な港町ゲタリアは、フィリピンで没したマゼランの後を継いで世界一周を果たしたセバスティアン・エルカノやデザイナー、バレンシアガの故郷。
  • フランスとの国境の街オンダリビア フランスとの国境の街オンダリビア
    旧市街が国定史跡となっているフランスとの国境の街オンダリビアは、城壁に囲まれ、石畳の路地に沿って窓辺を花の鉢で飾った家が続いている。
  • コンチャ湾とサンセバスティアン市街
  • ビルバオ市庁舎
  • バスクの主要漁港の一つベルメオ
  • 港町ゲタリア
  • フランスとの国境の街オンダリビア

褐色に乾いた高原地帯が広がるイベリア半島だが、北端のカンタブリア山脈が北の海に一気に落ち込む一帯は緑に恵まれ「緑のスペイン」とも呼ばれる。そのカンタブリア山脈が東端でピレネー山脈と交わりビスケー湾に落ち込んだところにサンセバスティアン(バスク語ではドノスティア)がある。
 
モンテ・イゲルドとモンテ・ウルグルという二つの岬に挟まれ、コンチャと呼ばれる美しく広い砂浜の湾に面した街サンセバスティアンは小さな漁港として始まるが、やがてカスティーヤ王国の重要な羊毛の輸出港となる。しかしスペインがフランスによる占領からの独立戦争末期の1813年8月31日、ナポレオン軍の侵攻で街は焼失。その後再建されたのが現在の旧市街で、憲法広場を中心にフェルミン・カルベトン通りや、わずかに焼失を免れたことにちなむ8月31日通りを始め、自慢のピンチョスでしのぎを削るバルがひしめきあっている。

スペイン人の暮らしに欠かせないのがバル。そこではおつまみとも言えるタパスと呼ばれる軽食を出すところが多い。そのタパスがサンセバスティアンを震源に小皿料理として進化したのがピンチョスだが、その歴史はそう古いものではなかった。

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真のラグジュアリーとは何か

真のラグジュアリーとは何か

ラグジュアリーの定義が、音を立てて変わりゆく時代にあっても、最高峰のプロダクトを手にし、その圧倒的な美しさに触れる高揚感が、人生を鮮やかに彩る原動力であることを、私たちは知っています。
物質的な豊かさが、依然として私たちの精神を支える強靭な基盤であることに、言を俟ちません。
真の贅沢はそこから始まります。
アルゴリズムが弾き出す「正解」を疑い、自らの審美眼と直感で未踏の価値を切り拓く。
その「知的冒険」こそが、グローバリズム崩壊後の世界に残された、最後のラグジュアリーではないかと考えます。
Nile's NILE Digitalは、物質と精神、伝統と革新、都市の快楽と野生の回復――この相反する要素を「アンビバレンス」として愉しむ、選ばれた冒険者たちのためのプラットフォーム。
混沌を優雅にサバイブするための視座と、本物の体験へのアクセス権。
ここはまさにDesigning for the Exceptionalsの砦。
知的冒険者たちが集い、次なる航路を描くための、現代の港となります。

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