富士を描くパラリンアート

SDGs×企業 第28回

富士急行では、「富士を世界に拓く」という創業精神のもと、障がい者の自立推進を支援するパラリンアートコンテストを開催。2月23日の「富士山の日」に数々のイベントとともにパラリンアート表彰式を行い、みずみずしい感性で描かれた受賞作品が発表された。

Photo   Text Rie Nakajima

SDGs×企業 第28回

富士急行では、「富士を世界に拓く」という創業精神のもと、障がい者の自立推進を支援するパラリンアートコンテストを開催。2月23日の「富士山の日」に数々のイベントとともにパラリンアート表彰式を行い、みずみずしい感性で描かれた受賞作品が発表された。

SDGs×企業 第28回、富士急行、富士を描くパラリンアート
青空に映える富士山の雄姿と富士急ハイランドのアトラクション。2月23日の「富士山の日芸術祭」の中でパラリンアートコンテストの表彰式が行われた。

1926(大正15)年、「富士を世界に拓く」という創業の精神のもと、富士山麓電気鉄道を創立したことに始まる富士急グループ。富士の霊峰を中心に、周辺の山麓一帯を世界的観光地として開発すべく、まずは鉄道、別荘地を整備し、次に自動車、バスの整備、ゴルフ場の開発、ホテルリゾートの整備へと進め、1969年には富士急ハイランドをオープン。2000年代にはフジヤマミュージアムやふじやま温泉もオープンし、富士山麓を、世代を超えて愛される一大リゾートとして発展させてきた。

富士山の魅力は、その末広がりの雄大な美しさだけでなく、太古から信仰の対象として人々に慕われてきた、霊峰としての圧倒的な存在感にある。日本の中では他にない唯一無二の山であり、その姿と歴史文化が多くのアーティストにインスピレーションを与え、数々の作品が生み出されてきた。2013年に富士山が世界文化遺産に登録されたときも、「信仰の対象と芸術の源泉」であることが独自の価値として挙げられている。だからこそ、富士急行が次に目指すのは、富士山を守り、環境と観光の調和の取れたリゾートエリアへと、さらなる成熟を遂げることであった。富士山エリアをリゾートシティーとする持続可能な地域社会の実現を目指す。

その中で鉄道事業における他鉄道会社の中古車両の再活用を始め、ブレーキのエネルギーをほかの電車の加速時に利用する回生ブレーキの導入、バス・タクシー事業における電気バスの導入や軽EVタクシーの運行など、各分野で環境に配慮した取り組みを積極的に行っている。2023年7月には、ソーラーパネルの設置や敷地内緑化の採用、再生材や富士山の溶岩石を使った内装など、自然環境に配慮した設計を取り入れた大型コースター「ZOKKON」の開業でも話題となった。

そしてもう一つ、時代が移っても変わることのない目標が、創業の精神として掲げられた「富士を世界に拓く」ことである。富士急行は昨年8月1日、一般社団法人障がい者自立推進機構(以下パラリンアート)とオフィシャルパートナー契約を締結。この取り組みの一環として、パラリンアートに所属するアーティストおよび山梨県・静岡県在住の障がい者アーティストを対象に、「あなたがイメージする富士山」をテーマとするアートコンテストを開催した。障がい者の社会参加や経済的自立への推進を目的としながらも、「富士山の素晴らしさを多くの人に広めたい」という理念に基づいて企画されたものである。

これまでにもさまざまな画家や芸術家たちが、それぞれの時代の感性によって富士の美しさを表現してきた。その意味では、「障がい」を持つアーティストが、社会の常識や固定観念にとらわれず、独自の感性によって描き出す富士山の世界には、現代社会の多様性が表れている。あまりにも知られて有名な、ともすれば凝り固まってしまった「富士山のイメージ」だが、パラリンアートのアーティストたちは自由に伸び伸びと表現している。

コンテストには全国から130作品の応募があり、富士急グループの社員と一般の顧客による投票と地域の芸術家による審査の結果、3点の受賞作品が選出された。作品はフジヤマミュージアムで展示されるほか、パラリンアートを身近に感じてもらうため、グッズやノベルティーのデザインにも活用される。表彰式は2月23日の「富士山の日」に開催。「富士山の日芸術祭」としてヘッドマークデザインコンテストやアートトレインの運行、地元高校吹奏楽部による演奏会など、芸術にまつわる数々のイベントが実施される中で行われた。凛りんとした冬の空気に包まれる、富士山が最もきれいに見える時期に、山麓は多くの人でにぎわうこととなった。

富士急行ではこのほか、創立65周年記念事業の一環として、富士山麓に「富士急記念の森林」を整備。社員が下草刈りや自然に適した植樹を行い、今やその面積は2.29haにまで広がっている。富士急ハイランドのIT化に伴う園内マップの廃止、富士ミネラルウォーターの非常用保存水としては国内初となるラベルレスボトルの発売などに挑戦する一方、社員による富士山清掃登山や地域の美化活動など、地道な活動も継続中だ。富士山の素晴らしさを、より多くの人に―そうした思いが、環境と社会のための多彩な活動につながっている。

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    「あなたがイメージする富士山」をテーマとしたパラリンアートコンテストで最優秀賞に輝いた黒川陽平さん(大阪府)の『妖精』。
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    審査員賞を受賞したけんたろうさん(静岡県)の『蒼の富士』。
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    優秀賞を受賞した田尻はじめさん(新潟県)の『日の出前静寂の富士』。
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富士急行
TEL 0555-22-7100
www.fujikyu.co.jp

※『Nile’s NILE』2024年5月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています

真のラグジュアリーとは何か

真のラグジュアリーとは何か

ラグジュアリーの定義が、音を立てて変わりゆく時代にあっても、最高峰のプロダクトを手にし、その圧倒的な美しさに触れる高揚感が、人生を鮮やかに彩る原動力であることを、私たちは知っています。
物質的な豊かさが、依然として私たちの精神を支える強靭な基盤であることに、言を俟ちません。
真の贅沢はそこから始まります。
アルゴリズムが弾き出す「正解」を疑い、自らの審美眼と直感で未踏の価値を切り拓く。
その「知的冒険」こそが、グローバリズム崩壊後の世界に残された、最後のラグジュアリーではないかと考えます。
Nile's NILE Digitalは、物質と精神、伝統と革新、都市の快楽と野生の回復――この相反する要素を「アンビバレンス」として愉しむ、選ばれた冒険者たちのためのプラットフォーム。
混沌を優雅にサバイブするための視座と、本物の体験へのアクセス権。
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