村上隆 もののけ 京都

日本を代表する現代美術家・村上隆の個展が、国内で8年ぶりに開催されることが決まった。ポップで可愛らしい表現ながら、アートへの批評精神を持ち続け、常に現代美術の最前線を走ってきた村上。多数の新作を含む本展で、彼の芸術世界を体感したい。

Text Mizuki Ono

日本を代表する現代美術家・村上隆の個展が、国内で8年ぶりに開催されることが決まった。ポップで可愛らしい表現ながら、アートへの批評精神を持ち続け、常に現代美術の最前線を走ってきた村上。多数の新作を含む本展で、彼の芸術世界を体感したい。

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    村上隆《光琳 花》(参考作品)2014年
    デザインデータ φ1500㎜ ©2014 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd.
    All Rights Reserved.
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    村上隆《潤声 鮮血》(参考作品)2014年
    デザインデータ φ1500㎜ ©2014 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd.
    All Rights Reserved.
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    村上隆《光琳:超紐理論》(参考作品)2015年
    デザインデータ φ1500㎜ ©2015 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd.
    All Rights Reserved.
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村上の代表的な作品の一つに、「お花(フラワー)」シリーズがある。村上が東京藝術大学の受験時、花を毎日描いていたことから生まれたこのシリーズ。大量に描かれる顔のついたカラフルな花たちは一見ポップで可愛いながらも、笑顔の奥に複雑な感情を想起させる。繰り返される表情は、大量生産社会におけるアートの価値を問いかけるようでもあり、非常にコンセプチュアルなものだ。

また、村上の作品は時代を超えて日本の美術や大衆文化を再解釈する力を持っている。「お花」シリーズにも共通して村上作品の根底を流れるのは、アニメなどに代表されるサブカルチャー的表現だ。平面的で余白の多いこの作品のテイストはあまりに現代的なアウトプットのように思えるが、その源流として村上が挙げるのは江戸時代の絵師たちが描いた襖絵や屏風絵といった日本の伝統美術。西洋的な陰影と光、遠近法的な描き方ではなく、線で形を捉える平面の─“スーパーフラット”の表現こそが“日本文化の美”であると、彼は主張するのだ。古典絵画を始めとするハイカルチャーと、アニメなどのポピュラーカルチャー。二つの日本文化の連続性を示唆し、時代を超えてそれらを融合させることで新たな“美”を生む。村上独自の芸術理論が、作品に体現されているのである。

今回展覧会が行われる京都は、江戸時代に多くの絵師たちがかつて活躍した都市。公開が予定されているのは、さまざまな表情の「お花」が並ぶ《かわいい夏休み(黄金の王国の夏休み)》や、江戸時代の京都で多くの作品を残した尾形光琳からインスピレーションを得た「光琳」シリーズなど、日本美術に想を得た作品の本展特別バージョン。さらに、京都とその歴史をテーマにした数々の新作だ。時代と時代をつなぎ、表現を追求し続ける村上の新たな世界を、ぜひとも体験したい。

京都市美術館開館90周年記念展

村上隆 もののけ 京都

会期:2024年2月3日(土)~9月1日(日)
会場:京都市京セラ美術館 新館 東山キューブ
時間:10:00~18:00(最終入場は17:30まで)
休館日:月曜(祝日の場合は開館)
問い合わせ:TEL075-771-4334

takashimurakami-kyoto.exhibit.jp

※『Nile’s NILE』2023年12月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています

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真のラグジュアリーとは何か

真のラグジュアリーとは何か

ラグジュアリーの定義が、音を立てて変わりゆく時代にあっても、最高峰のプロダクトを手にし、その圧倒的な美しさに触れる高揚感が、人生を鮮やかに彩る原動力であることを、私たちは知っています。
物質的な豊かさが、依然として私たちの精神を支える強靭な基盤であることに、言を俟ちません。
真の贅沢はそこから始まります。
アルゴリズムが弾き出す「正解」を疑い、自らの審美眼と直感で未踏の価値を切り拓く。
その「知的冒険」こそが、グローバリズム崩壊後の世界に残された、最後のラグジュアリーではないかと考えます。
Nile's NILE Digitalは、物質と精神、伝統と革新、都市の快楽と野生の回復――この相反する要素を「アンビバレンス」として愉しむ、選ばれた冒険者たちのためのプラットフォーム。
混沌を優雅にサバイブするための視座と、本物の体験へのアクセス権。
ここはまさにDesigning for the Exceptionalsの砦。
知的冒険者たちが集い、次なる航路を描くための、現代の港となります。

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