おいしさの源

沖縄では古くからアグーと呼ばれる黒豚が飼育されていた。やんばるの緑深い山あいでアグーを飼育する我那覇畜産の我那覇明会長は、子どもの頃から豚とともに育ち、「沖縄のアグーを世界のあぐーへ」というスローガンのもと、今日のアグーのブランド化を実現した立役者だ。アグーはその肉だけでなく、豊富な脂がさまざまな料理に使われる。いわば、すべての沖縄料理のおいしさの根源だ。

Photo Satoru Seki  Text Rie Nakajima

沖縄では古くからアグーと呼ばれる黒豚が飼育されていた。やんばるの緑深い山あいでアグーを飼育する我那覇畜産の我那覇明会長は、子どもの頃から豚とともに育ち、「沖縄のアグーを世界のあぐーへ」というスローガンのもと、今日のアグーのブランド化を実現した立役者だ。アグーはその肉だけでなく、豊富な脂がさまざまな料理に使われる。いわば、すべての沖縄料理のおいしさの根源だ。

我那覇畜産のアグー豚は7〜10カ月かけてじっくり育てる
通常、豚の飼育期間は5〜6カ月だが、我那覇畜産のアグー豚は7〜10カ月かけてじっくり育てる。

沖縄のアグーは戦争で激減し、食料難に陥った故郷を救うためにハワイの沖縄出身者が550頭の白豚を船で届けた。これによって沖縄の養豚は復活したが、代わりに白豚が主流となる。

絶滅したと思われていたアグーはしかし、1981年の名護博物館による調査で約30頭が確認され、うち18頭が名護市にある北部農林学校に集められて戻し交配により10年かけて復活を遂げた。

とはいえ、血縁が濃くなりつつあるアグーはいまだ希少であり、我那覇畜産では純アグーの「島黒(シマクルー)」のほか、日本や中国系の豚と掛け合わせた「やんばる島豚あぐー」と「やんばるあぐー」を飼育。

与那国島の化石サンゴやヨモギ、海藻、泡盛のもろみかす、オリオンビールの乾燥酵母などの栄養豊富なえさと清涼な水により、アグー本来の甘みのある脂肪とあっさりした味わいの肉を受け継ぐ交配種の「あぐー」を国内外に発信してきた。

アグー豚は脂肪が多く、肉が柔らかくて臭みが少ないうえに、コレステロール値が低いのが特徴
アグー豚は脂肪が多く、肉が柔らかくて臭みが少ないうえに、コレステロール値が低いのが特徴。

会長から感じたのは、豚への愛。

「父も養豚をしていたので、子どもの頃から豚が身近にいました。小学生になると豚のえさにする米軍の残飯を一斗缶に入れ、バスと自転車を乗り継いで運んだものです。常に忘れないのは、豚に感謝してやさしく接し、大切に育てること。そうすると、不思議とおいしくなるのです」

もちろん、潰した豚は全身くまなくいただく。「特に鼻と尻尾の肉が好きですね」と話してくれた。

  • 我那覇畜産に残されていた沖縄らしい古い建物
    我那覇畜産に残されていた沖縄らしい古い建物。敷地は豊かな自然に囲まれ、飼育環境の良さがうかがえる。
  • 5年物の貴重なスーチカー(豚の塩漬け)
    会長が娘さんと沖縄中をめぐり、昔ながらの作り方や塩抜き方法を調査して作った5年物の貴重なスーチカー(豚の塩漬け)。

●我那覇畜産
TEL 0980-55-8822
shimakuru.jp

※『Nile’s NILE』2023年11月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています

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真のラグジュアリーとは何か

真のラグジュアリーとは何か

ラグジュアリーの定義が、音を立てて変わりゆく時代にあっても、最高峰のプロダクトを手にし、その圧倒的な美しさに触れる高揚感が、人生を鮮やかに彩る原動力であることを、私たちは知っています。
物質的な豊かさが、依然として私たちの精神を支える強靭な基盤であることに、言を俟ちません。
真の贅沢はそこから始まります。
アルゴリズムが弾き出す「正解」を疑い、自らの審美眼と直感で未踏の価値を切り拓く。
その「知的冒険」こそが、グローバリズム崩壊後の世界に残された、最後のラグジュアリーではないかと考えます。
Nile's NILE Digitalは、物質と精神、伝統と革新、都市の快楽と野生の回復――この相反する要素を「アンビバレンス」として愉しむ、選ばれた冒険者たちのためのプラットフォーム。
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