悲しみを抱きしめて、鬼滅に挑む

女性の社会進出、ジェンダーなどをメインに講演やメディア出演などで活躍中のジャーナリストの白河桃子氏。『鬼滅の刃』はなぜコロナ禍の今、流行しているのかを分析していただいた。

Photo Masahiro Goda  Text Kei Himeno

女性の社会進出、ジェンダーなどをメインに講演やメディア出演などで活躍中のジャーナリストの白河桃子氏。『鬼滅の刃』はなぜコロナ禍の今、流行しているのかを分析していただいた。

劇場版は“列車”がポイント

劇場版の『鬼滅の刃 無限列車編』は2回、3回と見に行くリピーターが多い。感動も情報量が多く密度が濃いため、もう一度確かめるために見たい、そんなファンが多いというのだ。映画を見て感動し、号泣する人も少なくない。そして、この映画は『鬼滅』ファンだけでなくいわゆる鉄道ファンの心もつかんだのだという。

「“列車”という独特の世界のファンもつかんでいます。列車の中で起こる出来事。これは、韓国のポン・ジュノ監督が2014年にハリウッドで手掛けた『スノーピアサー』にも通ずるところがあります。この作品は、氷河期に陥った地球で、ノアの箱船のような列車の中でだけ人類が生きているという物語。列車というものはそこでしか起こらない出来事をテンポよく描く要因になっています」

そして、ここ数年『ウォーキング・デッド』などのゾンビものが流行る傾向にも注目している。ゾンビは「流行病」と比喩されることが多い。「いつか伝染力の強い流行病のパンデミックが起きる」と気候変動対策をしている関係者の間で言われていたという。

「例えば温暖化で北極の氷が溶けると、今まで人類が出合ったことのなかったウイルスが出現するなどと言われています。パンデミックはWHO(世界保健機関)でも繰り返し警告されてきたことです」

「『鬼滅の刃』の中で『鬼』は鬼の血から伝染して、鬼が増えていく。ゾンビや鬼が感染症の比喩と重なる。炭治郎は妹を守りながら鬼と戦っています。新型コロナウイルスが時代背景にあることから、より『鬼滅』は私たちの心に刺さっているのでしょう」

人々を恐怖のどん底に陥れている新型コロナウイルスと、それに抗うように社会現象を起こしている『鬼滅の刃』。我々も今、「鬼」であるウイルスと戦っているのだ。

少子化ジャーナリスト。昭和女子大学客員教授、相模女子大学院特任教授。 白河桃子氏

白河桃子 しらかわとうこ
少子化ジャーナリスト。昭和女子大学客員教授、相模女子大学院特任教授。
東京生まれ。慶應義塾大学文学部卒、中央大学ビジネススクールMBA修得。 住友商事、リーマンブラザーズなどを経て執筆活動に入る。2008年に『「婚活」時代』を上梓し、婚活ブームの火付け役に。働き方改革、ダイバーシティ、女性活躍、ワークライフバランス、自律的キャリア形成、SDGsとダイバーシティ経営、ジェンダーなどをテーマとする。著書は25冊以上。

※『Nile’s NILE』2020年12月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています

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真のラグジュアリーとは何か

真のラグジュアリーとは何か

ラグジュアリーの定義が、音を立てて変わりゆく時代にあっても、最高峰のプロダクトを手にし、その圧倒的な美しさに触れる高揚感が、人生を鮮やかに彩る原動力であることを、私たちは知っています。
物質的な豊かさが、依然として私たちの精神を支える強靭な基盤であることに、言を俟ちません。
真の贅沢はそこから始まります。
アルゴリズムが弾き出す「正解」を疑い、自らの審美眼と直感で未踏の価値を切り拓く。
その「知的冒険」こそが、グローバリズム崩壊後の世界に残された、最後のラグジュアリーではないかと考えます。
Nile's NILE Digitalは、物質と精神、伝統と革新、都市の快楽と野生の回復――この相反する要素を「アンビバレンス」として愉しむ、選ばれた冒険者たちのためのプラットフォーム。
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