加賀友禅

加賀藩主の前田利常は、後水尾天皇を中心とする京都の芸術運動「寛永文化サロン」と交流し、多くの超一流の文化人を金沢に招いて、文化の振興に努めた。加賀友禅はその流れの中で生まれ、熟成の時を経て開花した伝統工芸の一つである。今に伝え継がれ、未来に紡がれていく伝統文様の世界へご案内しよう。

Photo Masahiro Goda  Text Junko Chiba

加賀藩主の前田利常は、後水尾天皇を中心とする京都の芸術運動「寛永文化サロン」と交流し、多くの超一流の文化人を金沢に招いて、文化の振興に努めた。加賀友禅はその流れの中で生まれ、熟成の時を経て開花した伝統工芸の一つである。今に伝え継がれ、未来に紡がれていく伝統文様の世界へご案内しよう。

次代につなぐ

加賀、千紅(江戸時代の紺屋より伝統を受け継ぐ唯一の染元)
千紅は江戸時代の紺屋より伝統を受け継ぐ唯一の染元。江戸時代に描かれた図案帳が、代々受け継がれてきた。加賀友禅を未来へとつなぐお宝だ。

寺西氏の生家は、江戸時代・文政年間から続く紺屋である。もともと武家だったが、前田家の御用紺屋になって3代目の時代に藩より苗字帯刀を許されたという。この頃にはもう手描き友禅の仕事が始められており、当時の図案帳紋帳が今も大切に保管されている。

明治期に入ってからは、多くの職人を抱えて、ますます盛業。屋号を「紺屋三郎右衛門」改め、「紺三」とした。

氏が紺三、現在の染元千紅(ちこう)を継いだのは32歳の時。その3年後に加賀友禅の作家になった。
以来、「自然の姿と、受けた感動を心に刻み、それを文様という色や形にして表現する」こと約50年、1000を下らない多くの作品を生み出してきた。

そんな氏が今、熱い思いで取り組むのは、次代を見据えた仕事。技術の継承のみならず、「将来に残すための作品づくり」に励む。祖先が残した図案帳に新たなページを加えながら、伝統の灯をともし続けているのである。

  • 加賀友禅、寺西一紘氏の手による訪問着「万葉」加賀友禅、寺西一紘氏の手による訪問着「万葉」
    (右)寺西氏の手による訪問着「万葉」。その名の通り、「万葉浪漫(ろまん)」が感じられる。帯で隠れる部分にまで、文様が描かれている。
    (左)この元になった図案。「着る人の年ごろや着姿を想像しながら描く」という。
  • 加賀友禅、寺西一紘氏の手による訪問着「華麗」加賀友禅、寺西一紘氏の手による訪問着「華麗」
    (右)訪問着「華麗」。かれんな花が咲き、愛らしいチョウが舞う。ありのままの自然を写しながらも、幻想的な文様である。
    (左)この元になった図案。「自然から学ぶのが文様の原点」と言う寺西氏は、「仕事も人生も本物志向。『ありのまま』がモットー」だそうだ。
  • 加賀友禅、寺西一紘氏の手による訪問着「万葉」
  • 加賀友禅、寺西一紘氏の手による訪問着「華麗」

※『Nile’s NILE』2020年3月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています

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真のラグジュアリーとは何か

真のラグジュアリーとは何か

ラグジュアリーの定義が、音を立てて変わりゆく時代にあっても、最高峰のプロダクトを手にし、その圧倒的な美しさに触れる高揚感が、人生を鮮やかに彩る原動力であることを、私たちは知っています。
物質的な豊かさが、依然として私たちの精神を支える強靭な基盤であることに、言を俟ちません。
真の贅沢はそこから始まります。
アルゴリズムが弾き出す「正解」を疑い、自らの審美眼と直感で未踏の価値を切り拓く。
その「知的冒険」こそが、グローバリズム崩壊後の世界に残された、最後のラグジュアリーではないかと考えます。
Nile's NILE Digitalは、物質と精神、伝統と革新、都市の快楽と野生の回復――この相反する要素を「アンビバレンス」として愉しむ、選ばれた冒険者たちのためのプラットフォーム。
混沌を優雅にサバイブするための視座と、本物の体験へのアクセス権。
ここはまさにDesigning for the Exceptionalsの砦。
知的冒険者たちが集い、次なる航路を描くための、現代の港となります。

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