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鎌倉モダンの源流を行く 前編

戦争や震災を経てもなおモダンな姿を今に残す、通称「鎌倉洋館のビッグ3」を巡る散歩へ出かけた。
まずは、鎌倉文学館へ向かおう。

Photo Masahiro Goda  Text Junko Chiba

戦争や震災を経てもなおモダンな姿を今に残す、通称「鎌倉洋館のビッグ3」を巡る散歩へ出かけた。
まずは、鎌倉文学館へ向かおう。

鎌倉文学館
鎌倉ゆかりの文学者の直筆原稿・手紙・愛用品などの文学資料を収集保存し、展示することを目的に開館。鎌倉に住んだり、別邸があったり、作品の舞台にしたり、何かしら鎌倉に関係のある文士は約340人に上るという。建物はハーフティンバーを基調とする。柱、梁(はり)、斜材などはそのまま外にむきだしにし、その間に石、煉瓦、土を充填(じゅうてん)して壁とする、木造建築の一様式だ。一方で切妻屋根や深い軒出などに和風のデザインが見られる、独特の外観となっている。

中世の首都・鎌倉は、近世以降も史跡都市としての存在感を示し続けている。豊かな自然を借景に立ち、四季折々の花に彩られた庭を持つ多くの古刹・名刹は、その象徴である。

一方で、風光明媚の地・鎌倉は、「海水浴場と避暑避寒の別荘」の顔を持つ。1889(明治22)年に横須賀線が開通して以降は、多くの皇族、華族、財界人たちが別荘を建てた。1910(明治43)年に藤沢―鎌倉間で江ノ電が開通した直後の状況を記した『現在の鎌倉』という本には、584軒の別荘一覧が掲げられている。

加えて、昭和初期に鎌倉町民が建てた立派な建物がある。「鎌倉大工」と呼ばれる地元の大工たちが、高い技術力で、鎌倉独自の商店建築や住宅をつくり上げていったのだ。

こういった「近代遺産」とも言うべき建物は、今も現役の住まいや公共のスペースとして利用されている。鎌倉という町にはだから、「近代建築のテーマパーク」的なおもしろさが感じられる。

鎌倉文学館

前口上はこのくらいにして、鎌倉洋館のビッグ3巡り、まずは「鎌倉文学館」に向かった。
緑の木立に囲まれた緩やかな坂道を上っていると、鎌倉ゆかりの文学者たちが吹かせているのか、“文学の風”を感じる。途中、石張りのトンネルにさしかかると、洞の向こうから柔らかな陽光が射し、えも言われぬ美しさ。しばし見惚れて、さらに上り詰めた所に、大きな瀟洒で上品な洋館が現れる。

ここまでのアプローチが、実に気持ちいい。ちょうどカエデの緑が見ごろの時節であることも手伝って、何度も立ち止まり、無数の葉が放つ生き生きとした輝きに見入ってしまったほどである。

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真のラグジュアリーとは何か

真のラグジュアリーとは何か

ラグジュアリーの定義が、音を立てて変わりゆく時代にあっても、最高峰のプロダクトを手にし、その圧倒的な美しさに触れる高揚感が、人生を鮮やかに彩る原動力であることを、私たちは知っています。
物質的な豊かさが、依然として私たちの精神を支える強靭な基盤であることに、言を俟ちません。
真の贅沢はそこから始まります。
アルゴリズムが弾き出す「正解」を疑い、自らの審美眼と直感で未踏の価値を切り拓く。
その「知的冒険」こそが、グローバリズム崩壊後の世界に残された、最後のラグジュアリーではないかと考えます。
Nile's NILE Digitalは、物質と精神、伝統と革新、都市の快楽と野生の回復――この相反する要素を「アンビバレンス」として愉しむ、選ばれた冒険者たちのためのプラットフォーム。
混沌を優雅にサバイブするための視座と、本物の体験へのアクセス権。
ここはまさにDesigning for the Exceptionalsの砦。
知的冒険者たちが集い、次なる航路を描くための、現代の港となります。

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