メデジン、光と影の賛歌 前編

かつては麻薬王が君臨し、無法都市だったメデジン。21世紀に入り、「世界一革新的」と評価されるほどの変貌を遂げたダイナミックなこの街を訪ねた。

Photo Ken Lai Text Koko Shinoda

かつては麻薬王が君臨し、無法都市だったメデジン。21世紀に入り、「世界一革新的」と評価されるほどの変貌を遂げたダイナミックなこの街を訪ねた。

岩山
メデジンから約50㎞、高さ220m、エル・ペニョールの岩山。かつては「悪魔の砦」と呼ばれ恐れられた。約700段の階段の上にはカフェや土産物店が並ぶ。ふもとには人造湖が広がる。

スラムの人々の通勤や通学のアクセスをよくした試みは、スラム外の市民や旅行者が日中スラムを訪れる機会も生み出した。エレベーター周辺は清潔になり、家々もペンキを塗るなどきれいに様変わりした。余ったペンキでアート・グラフィティが開花した。カフェや土産物の屋台が登場し、世界で唯一のスラム観光地が生まれたのだ。
 
ロープウェーは片道10分ほどで約15円。10人乗りの車両には住民らしき人も居合わせた。すぐ眼下には底辺の生活の営みが繰り広げられ、長いドキュメンタリー映画を見たような迫力で圧倒された。山頂近くでウォールアートを眺め、屋台で「死人も生き返る」と言われるほど強いコーヒーを飲んで、帰途はエスカレーターに乗った。音楽が流れ、家々の窓辺には花が飾られ、住民が笑いかけてくる。意外にも、同じ目線で眺める生活は別段すさんでいなかった。

サルサのナイトライフ
コロンビアのレストランの多くは深夜、明け方まで営業しており、夜更けと共にサルサ・ダンスが始まる。あでやかな舞台で、音楽と人々が織りなす、マジックリアリズムの世界が広がる。

仕事や学校を終えて帰宅する人々とすれ違うが、疲れ切った表情の人は少なく、皆楽しそうにおしゃべりに興じている。コロンビアの貧困率は高いが、生活満足度は日本よりずっと高いというのが、実感された。夕日がアンデスの山並みをバラ色に染めると、サルサが誘う長いラテンの夜が始まる。貧富の分け隔てなく、あでやかなマジックリアリズムの世界が扉を開く。

後編「ボテロとエスコバル」へと続く。

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真のラグジュアリーとは何か

真のラグジュアリーとは何か

ラグジュアリーの定義が、音を立てて変わりゆく時代にあっても、最高峰のプロダクトを手にし、その圧倒的な美しさに触れる高揚感が、人生を鮮やかに彩る原動力であることを、私たちは知っています。
物質的な豊かさが、依然として私たちの精神を支える強靭な基盤であることに、言を俟ちません。
真の贅沢はそこから始まります。
アルゴリズムが弾き出す「正解」を疑い、自らの審美眼と直感で未踏の価値を切り拓く。
その「知的冒険」こそが、グローバリズム崩壊後の世界に残された、最後のラグジュアリーではないかと考えます。
Nile's NILE Digitalは、物質と精神、伝統と革新、都市の快楽と野生の回復――この相反する要素を「アンビバレンス」として愉しむ、選ばれた冒険者たちのためのプラットフォーム。
混沌を優雅にサバイブするための視座と、本物の体験へのアクセス権。
ここはまさにDesigning for the Exceptionalsの砦。
知的冒険者たちが集い、次なる航路を描くための、現代の港となります。

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