メデジン、光と影の賛歌 前編

かつては麻薬王が君臨し、無法都市だったメデジン。21世紀に入り、「世界一革新的」と評価されるほどの変貌を遂げたダイナミックなこの街を訪ねた。

Photo Ken Lai Text Koko Shinoda

かつては麻薬王が君臨し、無法都市だったメデジン。21世紀に入り、「世界一革新的」と評価されるほどの変貌を遂げたダイナミックなこの街を訪ねた。

メデジン
山腹を埋め尽くすスラム。手前中央のオレンジ色の屋根がエスカレーター。6基がビル20階ほどになる山頂までを結ぶ。24時間運行で、スラム住民約1万5000人が利用している。

変貌を遂げた街

かつてグラン・コロンビアを成した南米大陸北部、アンデスの深い山並みに抱かれたメデジン。首都ボゴタに次ぐ人口約400万人の大都市だ。山腹にすり鉢状に広がる土色のスラム、高層建築が林立する中心街に隠された、旧市街地のコロニアル風のたたずまい。急速に拡大する街は、血なまぐさいドラマの舞台になってきたが、ランドスケープと混血の若い人々はひときわ美しい。
 
標高1500m、風景のまばゆいほどの光彩は、カリブ海が近いせいか。薄い山岳の空気はかすかに火薬のような旋律をはらんでいて、旅人を軽い興奮状態に陥らせる……ようこそ、伝説の無法地帯へ……いや、かつて世界の犯罪都市として悪名をはせたメデジンは、今では『ウォール・ストリート・ジャーナル』で「世界一革新的な都市」と評価されるまでに変貌しているのだ。

ロープウェイ
観光地などに多いロープウェーが貧困地区の便利な交通機関に。ロープウェーは5路線あり、鉄道に連結している。スラムで異彩を放つ3棟の建物は、図書館、シアター、役所で、ボゴタの建築家によるもの。

21世紀に入り、政府が麻薬カルテルと周辺ジャングルのゲリラをほぼ一掃し、1980年代後半に世界で最高の殺人犯罪率を記録したことは遠い昔となった。19世紀にスペイン人が搾取した黄金とコーヒーが集積された町は、今では生花産業(カーネーションの最大の輸出先は日本)とファッション産業が始まり、南米を代表する商都ともなっている。
 
アンデスの盆地に急拡大するメデジンの街は、その7割をスラムが占める。21世紀に入り、市はスラムを隔離するのではなく、市全体と連携することで、街の活性化を図った。2004年、山麓から山頂のスラムまで2㎞のロープウェーを開設。スラム中心部にはモダンなデザインの公民館と図書館を建設する(後者は日本の建築家、内藤廣によるもの)。2011年にはスラムの最も危険とされた地区に、400mの屋根付きエスカレーターを設置した。

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真のラグジュアリーとは何か

真のラグジュアリーとは何か

ラグジュアリーの定義が、音を立てて変わりゆく時代にあっても、最高峰のプロダクトを手にし、その圧倒的な美しさに触れる高揚感が、人生を鮮やかに彩る原動力であることを、私たちは知っています。
物質的な豊かさが、依然として私たちの精神を支える強靭な基盤であることに、言を俟ちません。
真の贅沢はそこから始まります。
アルゴリズムが弾き出す「正解」を疑い、自らの審美眼と直感で未踏の価値を切り拓く。
その「知的冒険」こそが、グローバリズム崩壊後の世界に残された、最後のラグジュアリーではないかと考えます。
Nile's NILE Digitalは、物質と精神、伝統と革新、都市の快楽と野生の回復――この相反する要素を「アンビバレンス」として愉しむ、選ばれた冒険者たちのためのプラットフォーム。
混沌を優雅にサバイブするための視座と、本物の体験へのアクセス権。
ここはまさにDesigning for the Exceptionalsの砦。
知的冒険者たちが集い、次なる航路を描くための、現代の港となります。

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