日本の美、やさしい座り心地

そこに敷くだけで空間が凛と引き締まり、座ることで自然と背筋が伸びる緞通がある。
350年の時とともに歩み、その洗練と深みを増してきた佐賀藩御用達「鍋島緞通」の美の世界を堪能したい。

Text Rie Nakajima

そこに敷くだけで空間が凛と引き締まり、座ることで自然と背筋が伸びる緞通がある。
350年の時とともに歩み、その洗練と深みを増してきた佐賀藩御用達「鍋島緞通」の美の世界を堪能したい。

初代吉島正敏が考案した、代表柄の蟹牡丹(かにぼたん)の中心をひし形に変形させた図柄の一枚。古典柄でありながら、現代に通じる端正な美。毛足の長いざっくりとした風合いも魅力。
初代吉島正敏が考案した、代表柄の蟹牡丹(かにぼたん)の中心をひし形に変形させた図柄の一枚。古典柄でありながら、現代に通じる端正な美。毛足の長いざっくりとした風合いも魅力。

最近では海外製の手織り敷物が人気だが、実は日本にも、100年を超えて受け継がれてきた、世界に誇る手織り敷物がある。江戸時代に佐賀で生まれた日本最古の手織り緞通、鍋島緞通だ。

その創業家である吉島家では、350年以上前、シルクロードを渡って伝えられた技術を途切れることなく一家継承し、現代まで他に類を見ない至高の緞通を生み出し続けている。特殊な染料により手染めで染め上げた、何百年も変わらぬ風合いを保つ木綿を用い、一切機械を用いず、一人の織師が一目一目、丹精込めて織り上げる。日本人ならではの繊細な手先の技術を駆使した鍋島緞通は、ずっとそこに背を伸ばして座っていたくなる、やさしい座り心地が魅力。ゲストをいたわり、心地よく癒やす、もてなしの心が込められている。

鍋島藩といえば、海外から大砲や鉄砲、蒸気機関など多くの技術を取り入れ、幕末きっての近代的な藩として知られた雄藩だ。その当主である鍋島家に愛され、鍋島家の屋敷を始め、和の空間を華やかに彩ってきたのが、異国のデザインに日本の美意識を融合させて発展した鍋島緞通である。佐賀市の苗運寺にある緞通碑によると、農家の古賀清右衛門家に外国人から絨毯の織り方を習ったという使用人がいて、清右衛門自ら学び、12軒に織り方を伝授したという。これを3代藩主の鍋島綱茂が佐賀藩御用として保護し、以降、脈々とその技術が守られてきた。そして戦時中に技術保存の指定を受け、技術を継承したのが、1912(大正元)年創業の吉島伸一鍋島緞通である。それから100年以上にわたり、佐賀藩鍋島家御用の「格」と、歴史が磨き上げた「洗練」という名の技を現代に伝えてきた。

現在の吉島伸一鍋島緞通では、3代目吉島伸一が中心となり、4代目ひろ子、5代目夕莉子とともに、その歴史と伝統を正統に継承し、今後、後世に引き継がれるよう、日々、さらなる革新を目指し、緞通美の世界を追求している。伝統の技術を生かしつつ、現代の日本のライフスタイルにも合う作品は、古き良き時代から現代まで、日本の空間によく馴染むのが特徴だ。

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真のラグジュアリーとは何か

真のラグジュアリーとは何か

ラグジュアリーの定義が、音を立てて変わりゆく時代にあっても、最高峰のプロダクトを手にし、その圧倒的な美しさに触れる高揚感が、人生を鮮やかに彩る原動力であることを、私たちは知っています。
物質的な豊かさが、依然として私たちの精神を支える強靭な基盤であることに、言を俟ちません。
真の贅沢はそこから始まります。
アルゴリズムが弾き出す「正解」を疑い、自らの審美眼と直感で未踏の価値を切り拓く。
その「知的冒険」こそが、グローバリズム崩壊後の世界に残された、最後のラグジュアリーではないかと考えます。
Nile's NILE Digitalは、物質と精神、伝統と革新、都市の快楽と野生の回復――この相反する要素を「アンビバレンス」として愉しむ、選ばれた冒険者たちのためのプラットフォーム。
混沌を優雅にサバイブするための視座と、本物の体験へのアクセス権。
ここはまさにDesigning for the Exceptionalsの砦。
知的冒険者たちが集い、次なる航路を描くための、現代の港となります。

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