酷暑の中だからこそ思うこと

時代を読む 第139回 原田武夫

時代を読む 第139回 原田武夫

となると、「許容されはしない」が、本来の神道の在り方そのものという部分があってしかるべきなのだ。そしてこれを人知れず、「口伝」で連綿と伝えているのが「古神道」なのである。その担い手たちは神職など目に見えるものを一切担ってはいない。唯一あるとすれば「霊格」を見いだされることによって将来に向けて「役割」を担わされている点においてだけ共通した者たちなのであって、決して主向きは分からない人的つながりであるところに特徴がある。

さて、なぜ本稿で「古神道」を取り上げたのかといえば、「自然」と書いて「じねん」と呼ぶのは正にその世界においてだからだ。そしてそこでいう「自然」という概念の大前提には「日本的霊性」(鈴木大拙)がある。つまりそれは「作用の対象」なのではなく、「自らが同化すべき対象」なのである。自然は私たち人類の意思とは無関係に着実に動いているのであって、それにあらがおうとするととんでもないしっぺ返しに遅かれ早かれ出くわすことになる。そうした「西洋的なやり方」に対して「東洋」においてはむしろ、それとの「同化(assimilation)」によって自然が現象として私たち人類の側に災禍を及ぼす前に気づき、備えるということを促すのである。ここに東西における文明の根本的な違いがある。

現下の「酷暑」もまた同じである。「酷暑」ということは、何かが燃えたぎっていて、もはやそれを抑え込むことができないからこそ、地表に、そして大気中に噴出してきているのである。自然が自律的にというよりも、こう考えた場合、私たち人類が19世紀頃から「動力革命」「情報革命」「電子革命」「知能革命」と進めることで「マルサスの法則」を乗り越えようとし、結果としてエネルギーを大量消費してしまっていることに気づく。「酷暑」の原因は何のことはない、私たち人類の側にある、と「古神道」では考えるのだ。

「暑い、暑い」といってエネルギーを大量消費していては事態が悪化するばかりだ。そもそもの私たちの生き方、在り方を変えるべきときが来ている。「古神道」はそう、私たちに今、語りかけている。

原田武夫 はらだ・たけお
元キャリア外交官。原田武夫国際戦略情報研究所代表(CEO)。情報リテラシー教育を多方面に展開。2015年よりG20を支える「B20」のメンバー。

※『Nile’s NILE』2025年11月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています

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真のラグジュアリーとは何か

真のラグジュアリーとは何か

ラグジュアリーの定義が、音を立てて変わりゆく時代にあっても、最高峰のプロダクトを手にし、その圧倒的な美しさに触れる高揚感が、人生を鮮やかに彩る原動力であることを、私たちは知っています。
物質的な豊かさが、依然として私たちの精神を支える強靭な基盤であることに、言を俟ちません。
真の贅沢はそこから始まります。
アルゴリズムが弾き出す「正解」を疑い、自らの審美眼と直感で未踏の価値を切り拓く。
その「知的冒険」こそが、グローバリズム崩壊後の世界に残された、最後のラグジュアリーではないかと考えます。
Nile's NILE Digitalは、物質と精神、伝統と革新、都市の快楽と野生の回復――この相反する要素を「アンビバレンス」として愉しむ、選ばれた冒険者たちのためのプラットフォーム。
混沌を優雅にサバイブするための視座と、本物の体験へのアクセス権。
ここはまさにDesigning for the Exceptionalsの砦。
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