京都食の値段その後

食語の心 第139回 柏井 壽

食語の心 第139回 柏井 壽

食語の心 第139回 柏井 壽、京都食の値段その後

食料品の値上げラッシュというニュースは毎月定例のようになってきた。先月は〇品目だったが今月はそれを上回る。

最初の頃は驚いたり嘆いたりしたが、今では慣れっこになり、反応することもなくなってしまった。

ことは一般家庭だけでなく、当然のことながら、飲食店もそれにつれて値段が上がる。

まだ食料品の値上げが目立たなかった2017年。つまり8年前の本コラムで「京都食の値段」というタイトルで、京都の飲食店価格の変遷を書いた。

2003年、すなわち今から22年前に『京都の値段』を出版し、そこに掲載した飲食店の価格がどう変わったかを書いたのである。

では2025年の今日になって価格はどうなったか。

食料品価格、つまり原材料が高騰したわけだから、当然のごとく軒並み値上がりしているのだが、業種や店によって、値上がり幅に相当な差が生じているのが興味深い。

22年前の刊行時、人気店やお薦め店を値段とともに紹介したのだが、すでに廃業してしまった店があれば、ますます人気が高まっている店もある。8年前の本コラムとおなじ店で比較してみよう。

まずは京都で最も予約が取りづらいと言われる「祇園さゝ木」からみてみよう。

22年前の夕食は1万3000円。8年前は2万4000円、そして今は4万4000円である。つまり22年間のあいだで軽く3倍を超える価格になったというわけだ。

もう一軒、おなじく予約困難店で知られる「草喰なかひがし」はと言えば、22年前の夜のコースは8000円~だったが、8年前は1万6000円、今は2万4200円~、とこちらもほぼ3倍になっている。

やはり日本料理店の価格は、その人気ぶりに比例して、急カーブの右肩上がりを描いている。

原材料価格の高騰がその要因だろうと推察して、ちょっと不思議なことに気付いた。

京都を代表する茶懐石の名店「辻留」の花見弁当価格の変遷である。22年前5000円だった価格は、8年前はおなじ5000円、そして今は6480円というから驚きだ。

22年間での値上げ率は3割弱。おなじ日本料理を供しながら、片や3倍、片や2割強の値上げ。なぜそんな差が出るのだろう。

おなじ日本料理で検証を続けてみよう。

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真のラグジュアリーとは何か

真のラグジュアリーとは何か

ラグジュアリーの定義が、音を立てて変わりゆく時代にあっても、最高峰のプロダクトを手にし、その圧倒的な美しさに触れる高揚感が、人生を鮮やかに彩る原動力であることを、私たちは知っています。
物質的な豊かさが、依然として私たちの精神を支える強靭な基盤であることに、言を俟ちません。
真の贅沢はそこから始まります。
アルゴリズムが弾き出す「正解」を疑い、自らの審美眼と直感で未踏の価値を切り拓く。
その「知的冒険」こそが、グローバリズム崩壊後の世界に残された、最後のラグジュアリーではないかと考えます。
Nile's NILE Digitalは、物質と精神、伝統と革新、都市の快楽と野生の回復――この相反する要素を「アンビバレンス」として愉しむ、選ばれた冒険者たちのためのプラットフォーム。
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