地球上にはまだまだ心躍る未知がある

本の食べ時 第8回 君島佐和子

本の食べ時 第8回 君島佐和子

本の食べ時 第8回 君島佐和子、地球上にはまだまだ心躍る未知がある

新聞1面下段書籍広告の『酒を主食とする人々』という書名に思わず目が止まった。サブタイトルにある「科学的秘境」も気になる。とどめがコピーの「朝、昼、晩、大人も子供も妊婦も酒を飲み続け、健康な民族がいた!」。だとしたら、それは科学の常識―世界保健機関(WHO)はアルコールの害について警鐘を鳴らす―を超えている。確かに「科学的秘境」に違いない。本を入手すると、表紙に写っているのは子供、日本でなら小学生とおぼしき年頃だ。あどけない彼らが酒を飲む⁉「本当にそんなことがありえるのか?」という帯の文言そのままの興味に突き動かされてページをめくった。

著者の高野秀行氏は、講談社ノンフィクション賞、梅棹忠夫・山と探検文学賞、植村直己冒険賞、Bunkamuraドゥマゴ文学賞など受賞歴豊富なノンフィクション作家。「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをやり、誰も書かない本を書く」をモットーとして世に送り出した著書は30冊を超える。筋金入りのキャリアに裏打ちされた探訪記は、半信半疑の私を瞬く間に秘境へと連れて行ったのだった。

主な舞台となるのは、エチオピア南部、ケニアとの国境近くの高地デラシャ。デラシャの人たちは家ごとに自家製する「パルショータ」という酒を一日に5リットルも飲むという。

パルショータの主原料はソルガム(蜀黍(もろこし))で、造り方は複雑だ。ソルガムがパルショータになるまでには何段階かの発酵工程があり、その展開法は味噌(みそ)を連想させるらしい。

朝に晩にパルショータ、外出から帰ればパルショータ、来客にもパルショータ。「パルショータは主食であり、お茶であり、酒でもある」と高野氏は書く。固形物―「ごはんとおかず」「食べ物と飲み物」「酒とつまみ」といった既成の分類ができず、「酒と固形物」という分類にならざるを得ない―としては主にソルガムの粉の団子が添えられる、ソルガム尽くしだ。

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真のラグジュアリーとは何か

真のラグジュアリーとは何か

ラグジュアリーの定義が、音を立てて変わりゆく時代にあっても、最高峰のプロダクトを手にし、その圧倒的な美しさに触れる高揚感が、人生を鮮やかに彩る原動力であることを、私たちは知っています。
物質的な豊かさが、依然として私たちの精神を支える強靭な基盤であることに、言を俟ちません。
真の贅沢はそこから始まります。
アルゴリズムが弾き出す「正解」を疑い、自らの審美眼と直感で未踏の価値を切り拓く。
その「知的冒険」こそが、グローバリズム崩壊後の世界に残された、最後のラグジュアリーではないかと考えます。
Nile's NILE Digitalは、物質と精神、伝統と革新、都市の快楽と野生の回復――この相反する要素を「アンビバレンス」として愉しむ、選ばれた冒険者たちのためのプラットフォーム。
混沌を優雅にサバイブするための視座と、本物の体験へのアクセス権。
ここはまさにDesigning for the Exceptionalsの砦。
知的冒険者たちが集い、次なる航路を描くための、現代の港となります。

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