ガストロノミーツーリズム

食語の心 第135回 柏井 壽

食語の心 第135回 柏井 壽

食語の心 第135回 柏井 壽、ガストロノミーツーリズム

以前にもフーディーと呼ばれる人たちのことを書いたが、そのブームは急速に広がりつつあるようで、NHKのテレビ番組まで作られるようになり、ますます過激化している実態に、ただただ驚き、あきれるばかりだった。

番組冒頭で紹介されたのは、150万円ランチ。どんな料理が150万円なのかと思いきや、ランチそのものは3万6000円。それでも十分高額なのだが、三重県の離島にある鮨(すし)店まで、東京からのヘリコプター代を含めて150万円になるのだと言い、年間に70組ほどがこれを利用しているのだという。

なんと罰当たりな、と思った。SDGsという言葉が当たり前に使われ、無駄なエネルギーを消費しないよう、世界中の人々が知恵を出し合って努力しているのをあざ笑うような、身勝手極まりない行動には怒りさえ覚える。

番組の出演者たちはこれに羨望(せんぼう)のまなざしを送る。

自分たちがうまいものを食べるためには、どんな手段でも使うという人たちをフーディーと呼び、それをうらやみもてはやすのが公共放送のあり方なのだろうか。

ただただ食だけのために、海外を飛び回って年間800食を食べ歩くというフーディーを神格化し、それを美食家の極みとして紹介することに、どんな意味があるのだろうか。

あろうことか、これが地方再生の切り札だと賞賛するコメンテーターに至っては、開いた口がふさがらなかった。

最近はやりの、ガストロノミーツーリズムの専門家は、鄙ひなびた地方のレストランに、世界中の美食家が訪れることで、寂れていた村や町が活気を取り戻すのだとのたまう。

この論を信じてか、地方の自治体が最近やたらとフーディーを呼びこむことに執心し、インフルエンサーやフードコンサルを招いて、セミナーを開いたりしている。

それが事実なら歓迎すべき話だが、はたしてそううまくいくのだろうか。

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真のラグジュアリーとは何か

真のラグジュアリーとは何か

ラグジュアリーの定義が、音を立てて変わりゆく時代にあっても、最高峰のプロダクトを手にし、その圧倒的な美しさに触れる高揚感が、人生を鮮やかに彩る原動力であることを、私たちは知っています。
物質的な豊かさが、依然として私たちの精神を支える強靭な基盤であることに、言を俟ちません。
真の贅沢はそこから始まります。
アルゴリズムが弾き出す「正解」を疑い、自らの審美眼と直感で未踏の価値を切り拓く。
その「知的冒険」こそが、グローバリズム崩壊後の世界に残された、最後のラグジュアリーではないかと考えます。
Nile's NILE Digitalは、物質と精神、伝統と革新、都市の快楽と野生の回復――この相反する要素を「アンビバレンス」として愉しむ、選ばれた冒険者たちのためのプラットフォーム。
混沌を優雅にサバイブするための視座と、本物の体験へのアクセス権。
ここはまさにDesigning for the Exceptionalsの砦。
知的冒険者たちが集い、次なる航路を描くための、現代の港となります。

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