コーヒーを窓口に世界の今を知る

本の食べ時 第7回 君島佐和子

本の食べ時 第7回 君島佐和子

本の食べ時 第7回 君島佐和子、コーヒーを窓口に世界の今を知る
『STANDART』 Standart Japan
年間購読料10,900円。雑誌(168頁)×4冊、サンプルコーヒー(50g)×4、Standart Communityへのアクセス権を含む。送料無料。 www.standartmag.jp

スペシャルティコーヒーのパッケージには、生産国・地方・地区・農協・標高・品種・精製法・風味が記される。栽培環境と豆のタイプを示すためだが、初めてそれを知った時、「標高」という項目に新鮮な感動を覚えた。「標高:1500~1800m」などの文字を見ると、景色(空想でしかないけれど)が頭に浮かび、よりいっそう生産のバックグラウンドが感じられるからだ。

ホームページに生産者情報を詳しく掲載するロースターは多い。気候や土壌などの自然環境から、生産者組合がどのように運営されているか、組合構成員の女性比率やその国の政治情勢まで記述するロースターもいる。コーヒーを通して地球の反対側の社会状況を知ることになるわけで、豆を見つめながら「コーヒーとは地球を駆け巡るメディアだ」と思うのである。

コーヒーのみならず「カフェはメディアだ」と気付かされることも少なくない。印象深い出来事が前回のトランプ大統領統治下で起きた。就任まもなくの2017年1月29日、トランプ大統領は、シリア、イラク、イラン、リビア、ソマリア、スーダン、イエメンからの入国停止を発令した。それに対して、米国のコーヒーメディア「Sprudge」がSNSで「NO」を唱えた。すると直ちにコーヒー関連SNSが「#YesEqual」で賛同を表明したという。さらに全米600以上のカフェがAmericanCivil Liberties Union(米国自由人権協会)への募金を呼びかけ、約42万ドルが集まったそうだ。SNSに投稿された写真に写るのは「We Filter Coffee, Not People.」と書かれた立て看板。この話を私は大阪のロースターカフェ「HOOP COFFEE」のブログで知った。コーヒーやカフェについて考える時、いつもこのエピソードを思い出す。

サードウェーブの洗礼を受けたロースターやバリスタは、環境や人権に対する意識が高い。コーヒーで社会を変えていこうとするポリティカルな意志を持つ。2000年代前半に台頭した自然派ワインにも同様の傾向があって、人々をオーガニックへと導いたが、ワインは生産者と消費者が物理的にも精神的にも近いのに対して、いわゆる第三世界を産地とするコーヒーの場合、生産地と消費地の距離の遠さや経済格差ゆえ、地球全体の構造的問題を浮かび上がらせる。

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真のラグジュアリーとは何か

真のラグジュアリーとは何か

ラグジュアリーの定義が、音を立てて変わりゆく時代にあっても、最高峰のプロダクトを手にし、その圧倒的な美しさに触れる高揚感が、人生を鮮やかに彩る原動力であることを、私たちは知っています。
物質的な豊かさが、依然として私たちの精神を支える強靭な基盤であることに、言を俟ちません。
真の贅沢はそこから始まります。
アルゴリズムが弾き出す「正解」を疑い、自らの審美眼と直感で未踏の価値を切り拓く。
その「知的冒険」こそが、グローバリズム崩壊後の世界に残された、最後のラグジュアリーではないかと考えます。
Nile's NILE Digitalは、物質と精神、伝統と革新、都市の快楽と野生の回復――この相反する要素を「アンビバレンス」として愉しむ、選ばれた冒険者たちのためのプラットフォーム。
混沌を優雅にサバイブするための視座と、本物の体験へのアクセス権。
ここはまさにDesigning for the Exceptionalsの砦。
知的冒険者たちが集い、次なる航路を描くための、現代の港となります。

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