北京からの「本当の呼び声」が聞こえる

時代を読む 第132回 原田武夫

時代を読む 第132回 原田武夫

時代を読む――原田武夫 第132回、北京からの「本当の呼び声」が聞こえる

軽井沢にあるセカンドハウスで今日、冬支度をしてきた。今回は日帰りで戻り、東京の拙宅でこのコラムを書いている。山の尾根にある庵(いおり)では気温が10度を切る勢いであった。ようやく暑かった異常気象の時も終わり、冬が本格的に始まったタイミングでこの原稿の筆を執っている。

「トランプ候補が米大統領選挙で再選」―そう、メディア各社が騒ぎ立ててから早くもさまざまな騒動が起きてきている。しかしどうも釈然としない。そうした中で我が国を率いる石破茂総理大臣はというと、南米訪問を機に習近平・中国国家主席とは無事に会談にこぎつけたが、トランプ米次期大統領からは振られてしまい、面会はかなわなかった。「壊し屋トランプ」の拳がいよいよ我が国に振りおろされる、とメディア各社がさらに騒ぎ立てている。

そうした喧噪(けんそう)から逃れたくて山の尾根にある庵を訪れたわけであるが、そこでロッキングチェアに座りながらしばし物思いにふけっていると、10月の頭に八重洲で面会した「中国共産党のトップリーダー」との間で交わした会話が私の脳裏に浮かび上がってきた。同氏とはひょんなことから人づてで知り合ったのだが、何と言おうか、話している内容の波長が合うせいか、その後、訪日される度に会話することにしている。同氏は中国共産党のファウンディングファーザー&マザー、すなわち創設者らの直系の子孫の一人だ。習近平国家主席とも身近に会話を交わす間柄だと聞いている。「習主席は実のところ、我が国日本をあまりネガティブにとらえていないのではないか?」と私がある時切り出すと、「そのとおり。彼ほど日本食を愛する人はいないですよ」と同氏は笑って答えていた。彼の気質からして、この言葉は真意を伝えているとの直感を覚えた。

さて。同氏は北京において最大レベルの国際親善を目的とした財団を事実上率いている。そうした活動は広く世界に知られており、かつてはかの英国放送協会(BBC)がダライ・ラマと面会した同氏の姿を密着取材したほどだ。私たち日本人が知っている中国共産党の「ハードライナー」たちの言説とは異なるメッセージを次々に語る同氏との会話は毎回実にスリリングだ。そして今回はこんなことを言われた。

「原田さん、中国ではこの20年で分厚い中間層が形成されてきました。社会階層で言うとこの上と下が述べている過激な論調がどうしても諸外国ではハイライトされがちです。しかし中国の経済発展に伴い、分厚い中間層が台頭しているのであって、彼らの対外意識は実に穏健であり、安定しているのです。私はこうした中国の中間層と、同じく実は穏健で東アジアの安定を望んでいるニッポンの中間層とが、本音でつながりあえるような、そんな仕組みを創り上げたいと思っています」

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真のラグジュアリーとは何か

真のラグジュアリーとは何か

ラグジュアリーの定義が、音を立てて変わりゆく時代にあっても、最高峰のプロダクトを手にし、その圧倒的な美しさに触れる高揚感が、人生を鮮やかに彩る原動力であることを、私たちは知っています。
物質的な豊かさが、依然として私たちの精神を支える強靭な基盤であることに、言を俟ちません。
真の贅沢はそこから始まります。
アルゴリズムが弾き出す「正解」を疑い、自らの審美眼と直感で未踏の価値を切り拓く。
その「知的冒険」こそが、グローバリズム崩壊後の世界に残された、最後のラグジュアリーではないかと考えます。
Nile's NILE Digitalは、物質と精神、伝統と革新、都市の快楽と野生の回復――この相反する要素を「アンビバレンス」として愉しむ、選ばれた冒険者たちのためのプラットフォーム。
混沌を優雅にサバイブするための視座と、本物の体験へのアクセス権。
ここはまさにDesigning for the Exceptionalsの砦。
知的冒険者たちが集い、次なる航路を描くための、現代の港となります。

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