日本がテーマのオークションで、気鋭の若手時計師はどう評価されるのか?

不朽の価値 第21回 まつあみ靖、日本がテーマのオークションで、気鋭の若手時計師はどう評価されるのか?
篠原那由他(しのはら・なゆた)。
1994年、東京都生まれ。東京造形大卒業後、ヒコ・みづのジュエリーカレッジで学ぶ。在学中の2020年「ウォルター・ランゲ ウォッチメイキング エクセレンス アワード」金賞受賞。21年マサズパスタイム入社。時計修復の一方、「那由他モデル」プロジェクトの中心となり、23年に初となる2型を発表。24年には、1型を追加し3型で計約12モデルを製作予定だが、10月の受注期間で既に完売という注目度の高さ。

来たる11月22日、香港で「TOKI(刻)」と銘打ったオークションが開催される。そのテーマは“日本の時計収集の世界”。オークションハウスのフィリップスが、カリスマ的オークショニアであるオーレル・バックスが立ち上げたバックス&ルッソと提携して開催するもので、日本をテーマに掲げるのは初めての試み。主催者サイドのコメントによれば「日本の時計コレクターは世界的な収集トレンドに多大な影響を与えている」という。

出品アイテムは大きく三つに分類できる。まず日本のコレクターが所有する世界的なメゾンのスペシャルピース。松坂屋で販売された未使用のロレックス「コスモグラフデイトナ」ほかパテック フィリップ、ハリー・ウィンストン、ロジャー・スミスらのレアピースが含まれている。

二つ目は、日本のメジャーブランドの貴重なモデル。18K仕様のカシオ「G-SHOCK ドリームプロジェクト」、セイコー「天文台クロノメーター」、クレドール「叡智(えいち)」などが並ぶ。

三つ目は日本の独立時計師やマイクロメゾンの作品。独立時計師・菊野昌宏氏の「ユニーク・ピンクゴールド トゥールビヨン腕時計」、またNaoya Hida & Co.からは、YGケースの裏蓋にカスタム彫金ができる「Type1D-2」、浅岡肇氏率いる東京時計精密の3ブランドからは、売り上げの全てを能登復興に寄付するユニークピースが出品される。

三つ目のカテゴリーで注目したいのが、若き30歳の気鋭の時計師、篠原那由他氏が手掛けるマサズパスタイム「那由他モデルA」である。ビンテージ時計の修復やカスタマイズなどで知られる東京・吉祥寺の名店、マサズパスタイムに所属する篠原氏は、ヒコ・みづのジュエリーカレッジ在学中の2020年、「ウォルター・ランゲ ウォッチメイキング エクセレンス アワード」において、日本人初の金賞に輝いた人物。ヨーロッパをメインとする8カ国の時計学校からの推薦で集まった若手時計師が、「レトログラード」というテーマの下で作品を提出。篠原氏は、通常瞬時に帰零するこの機構に独自の工夫を加え、緩やかに時分針が戻る「スロームービング・レトログラード」で栄冠を手にした。「大学生までは建築を志していましたが、設計しても自分の手では作れない。時計なら両方できるのでは、と思ったんです」

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真のラグジュアリーとは何か

真のラグジュアリーとは何か

ラグジュアリーの定義が、音を立てて変わりゆく時代にあっても、最高峰のプロダクトを手にし、その圧倒的な美しさに触れる高揚感が、人生を鮮やかに彩る原動力であることを、私たちは知っています。
物質的な豊かさが、依然として私たちの精神を支える強靭な基盤であることに、言を俟ちません。
真の贅沢はそこから始まります。
アルゴリズムが弾き出す「正解」を疑い、自らの審美眼と直感で未踏の価値を切り拓く。
その「知的冒険」こそが、グローバリズム崩壊後の世界に残された、最後のラグジュアリーではないかと考えます。
Nile's NILE Digitalは、物質と精神、伝統と革新、都市の快楽と野生の回復――この相反する要素を「アンビバレンス」として愉しむ、選ばれた冒険者たちのためのプラットフォーム。
混沌を優雅にサバイブするための視座と、本物の体験へのアクセス権。
ここはまさにDesigning for the Exceptionalsの砦。
知的冒険者たちが集い、次なる航路を描くための、現代の港となります。

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