“神の手”から生まれた歴史とイノベーションの架け橋

腕時計における不朽の価値とは?
ミュージシャン兼ウォッチジャーナリストのまつあみ靖が、ハイウォッチメイキングの世界をナビゲートする連載第14回。「神の手を持つ時計師」と称されるミシェル・パルミジャーニ氏の真骨頂というべき、アートピースプロジェクトの最新作をお伝えする。

腕時計における不朽の価値とは?
ミュージシャン兼ウォッチジャーナリストのまつあみ靖が、ハイウォッチメイキングの世界をナビゲートする連載第14回。「神の手を持つ時計師」と称されるミシェル・パルミジャーニ氏の真骨頂というべき、アートピースプロジェクトの最新作をお伝えする。

時計連載、神の手から生まれた歴史とイノベーションの架け橋
「オブジェ・ダール」コレクションの新作として発表されたユニークピース。ミシェル・パルミジャーニのアトリエで修復を手掛け、機能を追加したムーブメントを搭載。最高の技術者たちの持てる技能を結集し、その美意識を体現した傑作。

「ラルモリアル」手巻き、ケース径58.2㎜、WGケース×WGチェーン、価格要問い合わせ。

ミシェル・パルミジャーニという時計師を語る際、しばしば「神の手を持つ」という枕まくら詞ことばが用いられる。
歴史的名品の修復から始め、レストア困難なモデルを蘇らせた。スイスのノバルティス製薬グループがその才能を見抜き、1996年には支援でパルミジャーニ・フルリエを設立。修復経験を活かし、自社でのマニュファクチュール体制を築き、時計業界での存在感を高めた。昨春のウォッチズ&ワンダーズで、70代になっても創作意欲は衰えず、「コロナ期間中には文献を研究し、新コレクションにも全ての意見を反映させています」と述べた。

コロナ禍中に発表された「トンダGT」と「トンダ PF」が好調だ。スポーティーでありながら控えめな美意識が人気の一因で、「スポーティーなモデルでも、ケースのエッジが立っているものは好みではありません。緩やかな角度で、優しいイメージを常に求めています」と強調。

また、2021年12月に発表された25周年記念プロジェクト「ラ・ローズ・カレ」では、伝説的な時計師ルイ︲エリゼ・ピゲが製作したキャリバーを完全修復し、最高峰の技術者による“ドリームチーム”が完成。美意識と技巧が光る仕上がりに感嘆の声が上がっている。

それから「レ・ローズ・カレ グラン・フー コレクション」という特別プロジェクトが発表された後、最近、パルミジャーニ氏の73歳の誕生日に「ラルモリアル」が登場。

1890年に製作されたミニッツリピーター・クロノグラフキャリバーを修復し、パーペチュアルカレンダーとムーンフェイズを追加。外装の仕上げには再び“ドリームチーム”が結集し、繊細なエングレーブ、手彫金、グランフーエナメルが施された。このデザインは、イタリア北部のマントヴァにあるルネサンス期の名建築、テ宮殿の「巨人族の間」のモザイクから着想を得ている。歴史とイノベーションを融合させたアートピースで、ミシェル・パルミジャーニ氏の創造性に改めて敬意を表したい。

  • ミシェル・パルミジャーニ、神の手から生まれた歴史とイノベーションの架け橋
    ケース径36㎜のやや小ぶりなサイズ感で、女性ユーザーにも、スモールサイズを求める男性ユーザーにもフィット。メゾン初のバイカラー仕様。秒針のない2針タイプで、サンドグレーのバーリーコーンのハンドギョーシェダイヤルと相まって、スポーティーさの中にも落ち着いたエレガンスを醸しだす。自社製キャリバー搭載。 「トンダ PFオートマティック」自動巻き、ケース径36㎜、RG+SSケース×RG+SSブレスレット、10気圧防水、3,762,000円。
  • ミシェル・パルミジャーニ、神の手から生まれた歴史とイノベーションの架け橋
    ミシェル・パルミジャーニ氏。1950年12月2日、スイス・ヌーシャテル生まれ。75年、修復とユニークピース用のエボーシュ製作を手掛ける会社を設立。修復技術の高さで評価を得て、サンド・ファミリー財団の支援により自身の名を冠したブランドを96年に設立。修復に携る後進の育成にも取り組んでいる。

まつあみ靖 まつあみ・やすし
1963年、島根県生まれ。87年、集英社入社。週刊プレイボーイ、PLAYBOY日本版編集部を経て、92年よりフリーに。時計、ファッション、音楽、インタビューなどの記事に携わる一方、音楽活動も展開中。著者に『ウォッチコンシェルジュ・メゾンガイド』(小学館)、『スーツが100ドルで売れる理由』(中経出版)ほか。

※『Nile’s NILE』2024年1月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています

真のラグジュアリーとは何か

真のラグジュアリーとは何か

ラグジュアリーの定義が、音を立てて変わりゆく時代にあっても、最高峰のプロダクトを手にし、その圧倒的な美しさに触れる高揚感が、人生を鮮やかに彩る原動力であることを、私たちは知っています。
物質的な豊かさが、依然として私たちの精神を支える強靭な基盤であることに、言を俟ちません。
真の贅沢はそこから始まります。
アルゴリズムが弾き出す「正解」を疑い、自らの審美眼と直感で未踏の価値を切り拓く。
その「知的冒険」こそが、グローバリズム崩壊後の世界に残された、最後のラグジュアリーではないかと考えます。
Nile's NILE Digitalは、物質と精神、伝統と革新、都市の快楽と野生の回復――この相反する要素を「アンビバレンス」として愉しむ、選ばれた冒険者たちのためのプラットフォーム。
混沌を優雅にサバイブするための視座と、本物の体験へのアクセス権。
ここはまさにDesigning for the Exceptionalsの砦。
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