世界に響かせる日本のKodo(鼓動)

ジュネーブ・ウォッチ・グランプリ2022において「クロノメトリー部門」のグランプリに輝いた「グランドセイコー Kodo コンスタントフォース・トゥールビヨン」。その意義を、製作を主導した技術者の言葉とともにお届けする。

Text まつあみ靖

ジュネーブ・ウォッチ・グランプリ2022において「クロノメトリー部門」のグランプリに輝いた「グランドセイコー Kodo コンスタントフォース・トゥールビヨン」。その意義を、製作を主導した技術者の言葉とともにお届けする。

川内谷卓磨
川内谷卓磨 かわうちや・たくま 
1978年、静岡県生まれ。東京工業大学卒業後、音楽活動に専念するも、2008年重鎮独立時計師フィリップ・デュフォー氏の「シンプリシティ」製作動画に魅せられ腕時計に開眼。同年、時計専門学校で本格的に時計について学び始める。10年セイコーインスツル(現セイコーウオッチ)入社、研究開発センターに配属され、12年にコンスタントフォース・トゥールビヨンのアイデアを提示し、そのプロジェクトを推進。20年、プロトタイプとなるキャリバーT0を完成させる。これをブラッシュアップし、小型化も実現したキャリバー9ST1を搭載した「グランドセイコー Kodo コンスタントフォース・トゥールビヨン SLGT003」を2022年に発表。

「入社当初、セイコーはいい時計、まじめな時計をつくっているけれど、色気や遊び心がもっとあってもいいなと思っていて、ブランドの価値をもっと上げたいというのが大きなモチベーションでした。複雑機構をやりたいと言っていたら12年に今までにない時計をつくるプロジェクトが立ち上がり、有志のメンバーがアイデアを出し合う中で、僕が提出した一つが、同軸のコンスタントフォース・トゥールビヨンだったんです」

原型的アイデアはひらめいてから30分ほどでスケッチし、それがほぼそのまま形になったというから驚きだ。しかし、なぜコンスタントフォース・トゥールビヨンだったのか?

「精度誤差の諸悪の根源は、ゼンマイのトルクが減少し、テンプの振り角が下がること。トルクを一定に保つコンスタントフォース機構は、それを同時に解決できる。トゥールビヨンは縦方向の姿勢差をキャンセルできますから、2大誤差要因を潰せば、相当精度がよくなる。12年当時、トゥールビヨンはすでに著名なブランドから販売されていましたから、その両方を搭載した機構を考えようと思ったんです」

当時、セイコーでは電波時計を主力としながら、高付加価値化、グローバル化の模索が始まった頃だった。GPSソーラーウォッチ、アストロンの発表が12年、初のトゥールビヨンモデル「クレドール FUGAKU」が16年、17年にはグランドセイコーの独立ブランド化を発表。

「高付加価値の時計を世に送り出したいと思っている人間が社内のあちこちにいて、そういう流れが実を結んでくるところに、たまたま10年かかった『Kodo』の開発が、ちょうど出せる状態になった。不思議なほどタイミングが一致したという感じがします」

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真のラグジュアリーとは何か

真のラグジュアリーとは何か

ラグジュアリーの定義が、音を立てて変わりゆく時代にあっても、最高峰のプロダクトを手にし、その圧倒的な美しさに触れる高揚感が、人生を鮮やかに彩る原動力であることを、私たちは知っています。
物質的な豊かさが、依然として私たちの精神を支える強靭な基盤であることに、言を俟ちません。
真の贅沢はそこから始まります。
アルゴリズムが弾き出す「正解」を疑い、自らの審美眼と直感で未踏の価値を切り拓く。
その「知的冒険」こそが、グローバリズム崩壊後の世界に残された、最後のラグジュアリーではないかと考えます。
Nile's NILE Digitalは、物質と精神、伝統と革新、都市の快楽と野生の回復――この相反する要素を「アンビバレンス」として愉しむ、選ばれた冒険者たちのためのプラットフォーム。
混沌を優雅にサバイブするための視座と、本物の体験へのアクセス権。
ここはまさにDesigning for the Exceptionalsの砦。
知的冒険者たちが集い、次なる航路を描くための、現代の港となります。

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