そしてニッポン企業という巨象が倒れる日

時代を読む 第65回 原田武夫

時代を読む 第65回 原田武夫

雷

今、我が国の株式マーケットに漂うマネーの実に3割以上が公的マネーであるという現実を読者はご存じであろうか。資本主義とは国家が経済を主導する共産主義や社会主義とは相反するものであるはずだ。しかし我が国における現実はというと、あきらかに「国家主導」資本主義になってしまっているのである。そこに純粋な意味での「神の手」は全く見当たらない。

なぜこんなことになっているのかといえば、我が国の大企業がどうしようもなくもうからなくなっているからだ。もっとも全てのセクターではない。一部に威勢がますます良いセクターや個別の企業は確かに存在している。「そこに行けば何でもかんでも安く手に入る」ことで有名なあの大型小売店が典型だ。あるいは、今流行のデジタル化のためにどうしても必要なさまざまな部品を製造しているメーカーも、莫大な利益をあげている。そうした企業があるにはあるのだ。

だが、総じて見ると我が国の大手企業は、軒並み不振をかこっているのである。しかも一時的な不振ではない。あきらかに問題状況が持続しており、この状態が「構造的な要因」によるものであることを如実に指し示しているのである。「有利子負債が1兆円近くある」「欠損が5000億円以上ある」などというのがまたぞろ出てきている。しかも、これに実のところ「簿外債務」が加わっている。要するに、高値で買わされた資産(その多くが海外資産)の値段が暴落してしまい、もはや売るに売れなくなっているのである。

ここで「助っ人」となるべきなのが我が国の金融機関なのだが、その足元も実のところ火の海になりつつある。フィンテックというと聞こえが良いが、要するに金融セクターはあきらかに縮小しており、リストラを真正面からやらざるを得なくなっているのである。当然、どんなにこれまでお得意さんであった大企業であっても、もはや「ない袖は振れない」のであって、シンジケート・ローンの申し出をまたぞろ断り始めている。これにおおいに動揺しているのが、これら大企業の経営幹部なのであって、実のところ上を下への大騒ぎにどこもかしこもなってしまっているのが現実なのだ。「こうなること」は、昨年より分かっていた。それでも何も決められないのが、我が国の経営リーダーシップの実態なのである。

もはや万策尽きているのかというとそうでもない。まだ二つだけ手が残されている。一つが簿内資産としては虎の子の「大型不動産」、とりわけ慣れ親しんだ本社ビルや、無駄に買い占めた全国にある支店用不動産を売却することである。さらにその次に打つべき手なのが、持ち合い株の一斉売却だ。だがそのためには、まずその株価を一斉に引き上げなければならない。だからこそ、我が国の株価は景気不振だというのに高止まりなのだ。

だが「夢」は、「バブル」は必ず消えてなくなる。大型不動産の売却ラッシュを今や遅しと待ち構えている外国勢の旺盛な買収欲により、これら大型不動産はこの夏から次々に売れていくはずだ。それと同時に我が国の大型株も上昇していく。ところがある時、「もはや売り物が全くないこと」にこれら大企業は気づくのである。そして債務について寝転がり、一切支払いを拒否するようになるのだ。まさかと思った「デフォルト」の始まり、である。

民間企業の「デフォルト=支払い拒否」は、それを救済しようとマネーをばらまくべき国家レベルでの「デフォルト=支払い拒否」に容易につながる。特に我が国の公的債務残高の高さを見ると、そうなるのは目に見えているのである。

難攻不落のように見え、あるいは絶対に倒れることがないはずの「巨象」であるべき我が国の大企業が、壮絶な死を遂げるタイミングが刻一刻と近づいてきている。果たしてあなた自身はその中で生き残ることができるのか―それが、問題だ。

原田武夫 はらだ・たけお
元キャリア外交官。原田武夫国際戦略情報研究所代表(CEO)。情報リテラシー教育を多方面に展開。2015年よりG20を支える「B20」のメンバー。

※『Nile’s NILE』に掲載した記事をWEB用に編集し再掲載しています

真のラグジュアリーとは何か

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