「1945年8月日本敗戦」の本当の条件

時代を読む 第69回 原田武夫

時代を読む 第69回 原田武夫

日の丸

最近、本当の賢者に出会うことができた。我が国の「政体」勢力がシステム転換を迎える際に常に登場する一族の血脈を継ぐ方である。その方からこんなことを教えていただいた。

「我が国が敗戦にあたって条件として連合国側に提示したのが『国体の護持』であるということはよく知られています。しかし、連合国側、特に米国はこの点について知りつくしており、条件を提示したのです。『日本語の廃止』と『皇后陛下をキリスト教徒から娶めとること』でした」

最近、「国体論」が流行である。生前御退位を前に出版メディアが盛り上げている。だが、どれもこれも的外れのように思えてならない。「国体」を語りつつ、結局は「目に見える出来事」についてしか語らないからだ。「国体の護持」とは「人的なファミリーとしての皇室の維持・保全」であるという単純な議論を超えて、最近では「戦後の国体とは要するに日米同盟ではないか」と述べる者もいる。確かにそれは正しい。もっともこれは結果論に過ぎないことを留意しなければならないのだ。

件の賢人は言う。「物理的な存在としての皇室はいわば結果論として存続し得たのであって、実はそのこと自体が当時の日米双方にとって最大の焦点ではなかったのです。そして相互が折り合いをつける形で戦後レジームが構築されるに至った。そのことを認識しなければ本当は何も始まらないのです」

先ほど述べた通り、日米間の密ひそやかな、しかし激しい本当の交渉の中で米国側は二つの決定的な条件をふりかざしてきたのである。これらの内、後者については清教徒による入植から始まる米国がキリスト教化を他国について図るのは当然と考えられるので、それほど違和感はないかもしれない。これに対して「日本語の廃止」の方はどうにも解せない。確かに米欧は植民地に対して現地語の撤廃を強要し、その文化と伝統、そして社会そのものを徹底的に破壊してきた。ベトナムやフィリピンを見れば彼らが一体何をしてきたのは明らかだ。だが、そうではあっても「国体」というレベルで語るには「日本語の廃止」というテーゼがやや違和感を拭えないことも事実なのである。

このことについて率直な疑問を呈した私を見つつ、知的に微笑ながら賢者はこう続けてくれた。「 確かに違和感を覚えるかもしれません。『なぜ日本語の議論をいきなりするのか』と。しかし本当はこのことこそ、皇統、いや我が国、そして『日本的なるもの』の本質なのです。そしてそのことは古代から我が国における体制が変わるたびに一体何が起きてきたのか、またそこでの立役者が何を本当はしてきたのかを精せい緻ち に振り返れば分かることなのです」

日本語は子音ではなく、母音が優位である世界でほぼ唯一の言語である。言語学的に日本語を分析する時、「音節」ではなく、「モーラ」と呼ばれる母音単位での数え方をする。そしてこの「母音優位の構造」こそが、日本語の圧倒的な優位性を確保しているのであって、だからこそGHQという名で我が国を占領した米国勢は徹底した「日本語廃止」を要求し我が国はこれを受諾したというのである。

確かに不思議なのは我が国においてはなぜか常に「英語ブーム」なのだ。英語に達者な者は優遇され、そうではない者は冷遇される。他方でよくよく考えてみると、私たちはまともな「日本語文法」を学ばないのだ。読者は「副助詞の『は』」について正確に定義できるであろうか。

「先の大戦が終わる時、米欧は科学技術がやがて量子力学に収斂することを知っていました。そしてそこへの扉を開けるのが日本語だけであることも知っていたのです。だから日本語は淘汰されなければならない、そう判断したのでした」

歴史の真実は常に想定外である。「日本語亡国論」の本当の理由、お分かりいただけただろうか。

原田武夫 はらだ・たけお
元キャリア外交官。原田武夫国際戦略情報研究所代表(CEO)。情報リテラシー教育を多方面に展開。2015年よりG20を支える「B20」のメンバー。

※『Nile’s NILE』に掲載した記事をWEB用に編集し再掲載しています

真のラグジュアリーとは何か

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