そして「2019年越え」ができなくなる日本企業

時代を読む-第76回 原田武夫

時代を読む-第76回 原田武夫

ビル

以前、とある我が国大企業の幹部と話していて、こう言われたことがある。

「我が国のデフォルト(国家債務不履行)というのはよく経済評論家が語ることですが、その度に消え、また現れるネタです。いわば蜃気楼と同じようなものではないでしょうか」

「困ったな」と私はこの時、正直思った。なぜならば定量分析で見ると、我が国全体のデフォルト確率が急上昇することは数年前からはじき出されているからだ。「そんな便利なものがあるのならば、なぜもっと大々的に公表しないのか」とお叱りを受けそうである。しかし、世間では真実であればあるほど、それを公言すべきではないということがある。「我が国が近々デフォルトになる」というのはその一つなのであって、今はまだ公言してはならないテーマなのだ。

しかし、技術はそうした人類社会の側の事情を無視して発展し続けている。最新のアルゴリズムをもって分析すると、まずもって国家レベルでのデフォルトが生じる前に、我が国の株式マーケットにおいて、上場企業から順番に耐えられなくなり、そのデフォルト確率が急上昇することが前から分かっているのである。

問題はそれが「いつか」なのであるが、このことについて今回は読者各位のためにあえて書いておきたいと思う。なぜならば「遠い先」であったり「蜃気楼」であったりするわけではないからだ。今、計算値を見る限り、我が国上場企業におけるデフォルト確率が急上昇するのは、何を隠そう今年(2019年)の秋からなのである。

実のところこれは非常に単純な仕組みによって、なのだ。来年度(2020年度)にまで、不良債権の処理を当該企業について待てないとなれば、金融機関は容赦なくこれを断ち切るものである。そして、その波が年度末から半年ほど前の、今年秋くらいに顕著になるというわけなのだ。すべては金融機関の「自己保存の原理原則」によってなのである。不良債権を抱えつつも、金融機関から大量の融資を受け、いわばゾンビのように漂ってきたこれら上場企業は、その瞬間に一気に倒れることになる。これが我が国におけるデフォルト騒動の始まりなのである。

さすがの私でも今から数年前に「既にそうした計算結果が出ている」とアライアンス・パートナーから聞いて、にわかには信じられなかった。しかし、実際に今年(2019年)になると、明かに日本マーケット、とりわけ不動産マーケット、さらには不良債権マーケットが一気に動き始めたのである。そして“越境する投資主体”の雄たちからは「日本のメガバンクはこのままいくとマズイ。不良債権を売りさばけなければ、早々に退場を余儀なくされる」とまで聞くようになったのだ。

極めて親日的な中東勢を中心とした資金の大量注入によって、ようやく生き残った我が国メガバンクら金融機関であるが、それも束の間、いよいよ次のクライシスが発生するというわけなのである。しかも今回は「後がない」とでも言うべき状態なのだ。メガバンクたちであっても、もはや救われることはない。だからこそ、我が国上場企業の一部はひそかに抱えている不良債権もろとも、沈没を余儀なくされるのだ。そしてこれが積もり重なってついには我が国政府そのものがデフォルト(国家債務不履行)処理を余儀なくされる―。

何度聞いても、にわかには信じられないかもしれない。だが、先日、全く同じことをロシア・サンクトペテルブルクにある国立経済大学で学生たちに対して講義したらば、かなりの程度でこちらの言わんとしていることを理解してくれた。ロシアは1998年に実際にデフォルトしたのである。その記憶がまだ残っているロシア人にとって国家とは「不滅」なのではなく、「時に容易に崩壊」するものなのだ。その意味での心の準備ができているロシア人との比較において、何とまぁ、私たち日本人がのんきなことか。

蜃気楼だと思って足を突っ込んだ瞬間、デフォルトのぬかるみにはまるなどということがないよう今から注意しておきたい。その時になって救われるためには、これしか方法がない。

原田武夫 はらだ・たけお
元キャリア外交官。原田武夫国際戦略情報研究所代表(CEO)。情報リテラシー教育を多方面に展開。2015年よりG20を支える「B20」のメンバー。

※『Nile’s NILE』に掲載した記事をWEB用に編集し再掲載しています

真のラグジュアリーとは何か

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