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ANDY WARHOL×エスキス リオネル・ベカ

瞬間の芸術「料理」に全エネルギーを注ぐ五人の料理人が、ANDY WARHOLの世界に挑む。エスキス リオネル・ベカの挑戦とは。

Photo Masahiro Goda  Text Hiroko Komatsu

瞬間の芸術「料理」に全エネルギーを注ぐ五人の料理人が、ANDY WARHOLの世界に挑む。エスキス リオネル・ベカの挑戦とは。

リオネル・ベカ
バターナッツカボチャをくし形に切り、フロマージュブランにつけて弱火で焼く。さらにその上に薄切りにしたカボチャをビターオレンジのリキュールでマリネし、フュメして(燻製にかけて)重ねる。こうすることで、コリッとした歯応えが出る。真ん中にアーモンドと豆腐のペーストを敷き、自家製のタラマをところどころに絞り、ヴェルヴェーヌのミルクの泡を添える。自家製のしょうゆとヴィオニエ(白ワイン)に漬けたいくらとミモレットを散らし、余白にカボチャのピュレを塗り、エディブルフラワーを飾る。

カボチャの重量感が皿の中で存在感を増し、いくらが繊細な線となる。そしてカボチャのペーストが黄色の面となり、皿の余白を埋める。白い泡がアクセントとなり、見事な一皿に仕上がった。

ベカさんは言う。「でもこの作業は、決して絵に似せた料理を作り出すということではありません。絵をよくよく鑑賞し、読み解き、ウォーホルが何を描きたかったのかという気持ちに思いをはせ、それらを一度自分の中で咀嚼(そしゃく)した後に、食材と向き合いました。絵からインスピレーションを受け取るとは、絵から発せられる力を受け取るということですから」と。

画家と料理人に共通点があるとすれば、一つの作品を生み出すのに、画家が絵の具で色をのせていくように、料理人は素材で色をのせていくというところだろうか。

しかし、ベカさんは皿の上の料理をアートであるとは思っていないのだそう。なぜなら盛り付けは、視覚的要素であって、味を反映しているもの、または連想させるものでなければならないから。ベカさんの考えである。ただ、料理もアートもどちらも心の、また体の栄養になるという意味では共通項があると言えるのではないだろうか。

絵を描く母のもとに生まれ、幼い頃からアートが身近にある環境の中で育ったというベカさん。初めてウォーホルに触れたのは、15歳のときだった。ベカさんにとって、アートはまさに栄養なのだ。

リオネル・ベカ

リオネル・ベカ

1976年、フランス・コルシカ島生まれ。97年から「ル・サントラル」「ギィ・ラソゼ」「ペトロシアン」で研鑽を積み、2002年には「メゾン・トロワグロ」のスーシェフに就任。06年、東京にオープンする「キュイジーヌ[s] ミッシェル・トロワグロ」のシェフに任命され来日し、5年半同店のエグゼクティブシェフを務める。12年、「ESqUISSE」エグゼクティブシェフに就任。『ミシュランガイド東京2013』より、継続して二つ星の評価を得る。

●ESqUISSE
東京都中央区銀座5-4-6 ロイヤルクリスタル銀座9F
TEL 03-5537-5580
www.esquissetokyo.com

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真のラグジュアリーとは何か

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