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追悼・坂本龍一

2023年3月28日に坂本龍一さんが亡くなったという知らせが届いた。音楽、映画、執筆、社会活動……さまざまな分野で類まれなる才能を発揮してきた。YMO結成当時から坂本さんの身近にいた雑誌編集者・根本恒夫さんが、彼の記憶をたどる。

Photo Masahito Goda  Text Tsuneo Nemoto

2023年3月28日に坂本龍一さんが亡くなったという知らせが届いた。音楽、映画、執筆、社会活動……さまざまな分野で類まれなる才能を発揮してきた。YMO結成当時から坂本さんの身近にいた雑誌編集者・根本恒夫さんが、彼の記憶をたどる。

(左)写真集『SEALED』(1984年3月出版)/(右)写真集『SEALED』に収録された坂本龍一さん。モノクロは70〜72年、カラーは83年に撮影された写真
(左)YMO“散開”後の84年3月に出版された写真集『SEALED』。
(右)写真集『SEALED』に収録された坂本。モノクロは70〜72年、カラーは83年に撮影された写真。愛猫“擬(もど)き”と自宅で撮影した写真では、優しい顔を見せる。『SEALED』は『写楽』の特別編集として企画された。

最後に、私が編集した『CG STEREOGRAM 2』に寄稿してくれた「ステレオグラムと音楽のグルーブ」という一文(名文)に触れておきたい。これは、人間の脳に立体を認識させる原理と、音楽におけるグルーヴ」という一文(名文)に触れておきたい。これは、人間の脳に立体を認識させる原理と、音楽におけるグルーヴを感じさせる原理は共通で、それは周期性のズレであるという発見についての解説である。聴覚におけるこのズレの大きさが沖縄音楽と黒人音楽グルーヴの違いになり、視覚におけるこのズレの大きさが立体の深みになる。これを世界で初めて数量的に明らかにし、コンピュータで人工的にグルーヴを作れるようにしたのが、細野、坂本であり、それは現在のポピュラー音楽の製作現場に大改革をもたらす大発見だった。

書籍『CG STEREOGRAM 2』(小学館 1993年)
小学館から1993年に発行された書籍『CG STEREOGRAM 2』。
書籍『CG STEREOGRAM 2』(小学館 1993年)。坂本龍一さんはコラム「ステレオグラムと音楽のグルーヴ」を寄稿
書籍『CG STEREOGRAM 2』(小学館 1993年)。坂本龍一さんはコラム「ステレオグラムと音楽のグルーヴ」を寄稿
小学館から1993年に発行された書籍『CG STEREOGRAM 2』。待望の第2弾として登場した本書で坂本は「ステレオグラムと音楽のグルーヴ」というコラムを寄稿している。ここで述べられているコンピューター音楽は、現在のポピュラー音楽にも多大な影響を及ぼしたと思われる。

根本恒夫 ねもと・つねお
1948年、東京都生まれ。小学館の雑誌『GORO』『写楽』などの編集部に在籍、YMOの写真集『OMIYAGE』『SEALED』なども手掛けた。学年誌や『Sabra』などの編集長を歴任。リタイア後の現在は、ライブハウスでのオープンマイクやセッションに積極的に参加するなど音楽活動に没頭中。

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真のラグジュアリーとは何か

真のラグジュアリーとは何か

ラグジュアリーの定義が、音を立てて変わりゆく時代にあっても、最高峰のプロダクトを手にし、その圧倒的な美しさに触れる高揚感が、人生を鮮やかに彩る原動力であることを、私たちは知っています。
物質的な豊かさが、依然として私たちの精神を支える強靭な基盤であることに、言を俟ちません。
真の贅沢はそこから始まります。
アルゴリズムが弾き出す「正解」を疑い、自らの審美眼と直感で未踏の価値を切り拓く。
その「知的冒険」こそが、グローバリズム崩壊後の世界に残された、最後のラグジュアリーではないかと考えます。
Nile's NILE Digitalは、物質と精神、伝統と革新、都市の快楽と野生の回復――この相反する要素を「アンビバレンス」として愉しむ、選ばれた冒険者たちのためのプラットフォーム。
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